板橋区は、地域課題の解決と産業振興を両立させる新たな取り組み「地域理解促進ツールプロジェクト」の第1弾として、絵本「板橋ウィンメルブック」を10月に発行することを9月14日の区長記者会見で発表した。
ウィンメルブックとは、スイス・ドイツ語圏で親しまれてきた、文字のない絵本。ページいっぱいに人や街の様子が細かく描かれており、自由に物語を創造でき、読み手ごとのストーリーが生まれるのが魅力。
同区では、「絵本のまち板橋」を推進するとともに、印刷・製造業が多く立地する地域特性を生かし、これまで絵本作りに関するワークショップなどに取り組んできた。同プロジェクトは、板橋区の地域産業や歴史、暮らしの魅力を題材に、行政・区民・事業者・学校・クリエーターらが一体となり「地域理解促進ツール」を制作・活用する取り組み。地域の新たな魅力の発見や、地域理解、区内印刷・製本業者の新たな事業機会の創出、販路拡大につなげる。
「板橋ウィンメルブック」は、区内の印刷・製本事業者で構成する印刷分科会が中心となって制作。女子美術大学と連携し、学生から意見を募ったほか、区民祭りでのアンケートや小学校でのワークショップなどを通して、区民も制作に関わった。
日本初のウィンメルブックとして鎌倉を舞台に制作された「鎌倉ウィンメルブック」も、印刷・製本は板橋区内の事業者が担当した。ウィンメルブックの普及に取り組む人が、実際に本を形にする段階で、対応できる印刷・製本事業者が限られることから板橋の事業者にたどり着いたといい、区内の印刷・製本技術が今回のプロジェクトにもつながった。
絵本は見開き全7ページで構成し、にぎわいのある街並みや歴史、文化など、区内のさまざまな魅力を描く。板橋にゆかりのある歴史上の人物なども登場している。板橋区産業経済部産業振興課長の藤原仙昌さんは「描かれている歴史上の人物などを探すのも基本的な楽しみ方の一つだが、それにこだわる必要はない。ほかにもさまざまな人物が登場しているので、気になった人やものに焦点を当てて物語を想像するなど、自由な使い方をしてもらえたら」と話す。
絵本は、10月17日・18日に行われる「板橋区民まつり」でお披露目される。その後は、区内の保育園や図書館などに無料配布する予定。現時点では販売は決まっていないが、区民のニーズや事業者の要望も踏まえて今後の展望を検討していく。