日テレ・東京ヴェルディベレーザが9月12日、「2026/27 WEリーグ クラシエカップ」リーグステージ第1節で、INAC神戸レオネッサと味の素フィールド西が丘(北区西が丘)で対戦し、3-2で逆転勝利を収めた。観客数は2086人。
式田和選手が所属していたジョカーレフットボールクラブの代表として、父として試合を見守った式田高義さん(左)と同チームのコーチ・田嶋直人さん(右)
ベレーザは序盤から苦しい展開を迎える。前半3分、INAC神戸の山本摩也選手にフリーキックを決められ先制点を許すと、その4分後、パスの連係ミスを突いた久保田真生選手にセンターサークル付近で奪われ、そのまま追加点を決められた。
試合開始わずか7分間で2失点を喫したベレーザに待望の1点が生まれたのは、前半アディショナルタイムの45+2分。WEリーグ初スタメンの須長穂乃果選手が、左サイドからゴール前へグラウンダーのパスを送ると、村松智子選手がボールに触れずあえてスルー。ボールはそのままゴール右隅へ転がり込み、ネットを揺らした。
1-2で迎えたハーフタイム、楠瀬直木監督は「僕らの力が試されている」「前に顔を出そう」と選手たちに伝えた。「前にパスを出したいんだけど、そこにいなければ話にならない。前に立っているだけではなく、動きながらパスを受けること。相手が来ていなければ自分で持っていいので、落ち着いてやること。さらに、1人、2人の関係にとどまらず、3人目、4人目まで反応し、複数で攻撃する」ことを確認した。
その修正と、交代策が後半見事にはまった。55分、左サイドをドリブルで持ち込んだ氏原里穂菜選手のパスに、走り込んだ式田和(しきだにこ)選手が右脚で合わせ、2-2と試合を振り出しに戻した。式田選手は前半終了間際から出場。持ち味のスピードで右サイドから仕掛けて反撃を後押しし、自ら同点ゴールも決め、一気に流れを引き寄せた。
さらに、62分に投入された樋渡百花(ひわたりもか)選手が、前線でボールを収め攻撃の起点となり、チームは勢いを増す。すると87分、樋渡選手が左サイドから仕掛けクロスを送ると、交代で入って間もない土光真代(どこうまよ)選手が反応。豪快なヘディングシュートを決め、3-2に。ベレーザが劇的な逆転勝利をつかんだ。
試合後、楠瀬監督はこの勝利を「自信を持つきっかけになるゲーム」と表現した。U-20女子ワールドカップや、なでしこジャパンの活動で主力選手5人がチームを離れていることに触れ、「我々が勝って安心させるというか、勇気を持たせようと話していたので、それができて良かった。厳しい台所事情だが、とにかく一戦一戦、決勝のように戦いたい」と話した。
この日のスタンドには、式田選手の父で、元プロサッカー選手、現在はジョカーレフットボールクラブ代表を務める式田高義さんの姿もあった。式田選手の同点ゴールは、スタンドからの大きな歓声で気づいたという。買い物から戻る途中でその瞬間を見逃したが、買ってきたものを妻に手渡し周囲とハイタッチ。目を細めながら娘のゴールを喜んでいた。「普段、サッカーに関してアドバイスはしない。これからも人に感動を与えられるようなプレーをしてほしい。自分はできなかったので」そう話すと、少し照れたように笑った。
市立船橋高校時代にはキャプテンとして全国高校サッカー選手権優勝を経験し、プロ選手としてもプレーした父。娘のプレーを見つめながら語った言葉には、サッカー選手としての経験と、父親としての願いが込められていた。
次回の味の素フィールド西が丘でのホームゲームは10月28日、2026/27 WEリーグ第5節でセレッソ大阪ヤンマーレディースと対戦する。18時キックオフ。