自家焙煎(ばいせん)コーヒーの販売と喫茶営業を行う「ふろんてぃあ珈琲(コーヒー)工房」(板橋区大山町)で6月から7月にかけて、小学4年生から中学生を対象にしたワークショップ「カフェのお仕事&ドリップパックづくりを体験しよう」が行われた。
5回目となる今回は、講師陣にコーヒーマスターのほか、デザイナー、カメラマン、俳優、ミュージシャンなど多彩な顔ぶれがそろい、子どもたちが商品作りやおいしいコーヒーのいれ方、接客で大切なことなどを学んだ。
主催はNPO法人「音楽と演劇ぷらす」(埼玉県富士見市)。2023年度から毎年1回行い、「子どもたちに働くことについて考える機会を提供すること」を目的に活動している。板橋区立板橋第六小学校(大山町)の向かいにある同店は、2018(平成30)年に佐藤雅一さんが先代から店を引き継ぎ、地域に根差したカフェとしてさまざまな社会貢献活動にも携わっている。
講座は3回。1日目はコーヒーやデザインについて学び、オリジナルドリップパックのテーマを決定。2日目はプロカメラマンによる写真講座やコーヒーのいれ方などを学んだ。最終日の7月5日は、子どもたちが描いた絵や写真を使ったオリジナルドリップパックと商品陳列用POPを完成させ、抽出したドリップコーヒーを客に提供する接客も体験した。
講師陣は、近隣の企業や地域ボランティアなどで同店に縁のある人が集まった。制作するオリジナルドリップパックのテーマは「誰かのために」。主催者の一人、リブラン(大山町)の太田貴信さんは「各自、自分が誰かに何かを伝えるためのデザインを考えた。コーヒーが苦手な子どももいたが、お父さん、お母さんがコーヒーを飲む姿を見ていて意外と身近なものだと気付いたり、自然と『ありがとう』の気持ちを込める子どももいた」と話す。板橋区を中心に活動するデザイナー、平紋デザイン事務所の平塚由香さんは「自分はものづくりが好きで、それを職業にしたいと思ったらデザイナーだった。絵を描くのが好きな人にはお薦めの仕事」とアドバイス。接客を担当した黒田耕平さんは「俳優は楽しいからやっている。初めの一歩はハードルが高く感じられるが、1回目を乗り越えたら階段を上るように2回目、3回目もできるようになる。接客は心を込めて、自分がしてほしいことを相手にもすることが大切」と話した。他の講師からも「自分たちのやっている仕事は大なり小なり、必ず誰かの役に立っている。仕事は誰かの役に立つためにある」といった職業観が語られ、子どもたちは熱心に聞き入っていた。
区内の中学校に通う1年生の高橋さんは「学校で配布されたチラシを見て応募した。これまでも体験型のイベントに参加したことがあるが、新しいことを知るのが楽しいので参加できて良かった。接客は初めてで緊張したが、良い経験になった」と振り返る。他の参加者からも、「家族がコーヒー好きなので、いれ方を覚えて家でもやってみたい」「デザインに興味があり、将来はイラストレーターになりたいと思っている。プロのデザイナーにたくさん質問できたのが良かった。作ったドリップパックは友人にも配りたい」などの声が聞かれた。
佐藤さんは「コーヒーを通じて、学校での学びとは違った職業体験を提供していきたいと思い続けている。回を重ねるごとに子どもたちに伝えたいことが増えてきており、より楽しい雰囲気づくりが実現できていると感じている」と振り返る。「講座終了後も、ここで出会った人とのつながりを大切にしてもらえれば」とも。
今年は秋に6回目の開催を予定している。参加費は3日間で300円。募集開始は9月ごろ。近隣の学校に配布するチラシやポスター、ホームページやフェイスブックで知らせる。