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板橋区立美術館「建部凌岱展」閉幕 太宰治生家旧蔵作品を探す投稿も

「建部凌岱展」で展示した津島家旧蔵作品が掲載された「寒葉斎綾足遺墨集」

「建部凌岱展」で展示した津島家旧蔵作品が掲載された「寒葉斎綾足遺墨集」

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 板橋区立美術館(板橋区赤塚5、TEL 03-3979-3251)で開催されていた「建部凌岱(たけべりょうたい)展 その生涯、酔(よい)たるか醒(さめ)たるか」が4月17日で閉幕した。

津島家旧蔵とされる建部凌岱「紅梅群鵲」(「寒葉斎綾足遺墨集」掲載)

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 閉幕を前に同館は4月15日、太宰治の生家で旧蔵されていた建部凌岱の作品を探しているとSNSで投稿した。「探しています。太宰治の家が所蔵していた『紅梅群鵲(こうばいぐんじゃく)』」と題し、「太宰の生家・津島家が所蔵した、建部凌岱の作品『紅梅群鵲』は、昭和11年に弘前で開催された、凌岱の遺墨(いぼく)展には出品されていましたが、現在は何処(どこ)に」と、当時の出品目録に掲載された図版の画像と共に同館公式SNSで投稿した。

 凌岱は江戸時代中期に活躍した俳人・歌人・画家で、津軽藩(=弘前藩)家老の次男として藩邸があった江戸で生まれた。20歳で脱藩・出家した後、涼袋(りょうたい)、吸露庵(きゅうろあん)、綾足(あやたり)、寒葉斎(かんようさい)など雅号を変えながら各地を転々とし、小説や国学書なども刊行。中でも、国文学書や小説執筆時の筆名で多く使った「綾足」の名が知られ、著作や画譜、書簡などをまとめた全9巻の「建部綾足全集」が1986(昭和61)年から1990(平成2)年にかけて出版されている。

 閉幕した「建部凌岱展」について、担当学芸員の植松有希さんは「凌岱の作品を扱った本格的な企画展としては、弘前で行われて以来86年ぶり」だと言う。弘前で行われた企画展「寒葉斎綾足遺墨(いぼく)展覧会(以下、遺墨展)」は、1936(昭和11)年11月に開催。凌岱作品の図版を印刷した記念絵葉書セットが配られたほか、秩父宮夫妻が観覧するなどして話題になったことを当時の地元新聞などが伝えている。今回の「建部凌岱展」では、遺墨展に出品された津島家旧蔵の作品を含む76作品を図版掲載した「寒葉斎綾足遺墨集」(1937年発行)もケース展示し、遺墨展の概略と津島家が所蔵していたことと共に「現在所在不明」とする説明を添えていた。

 1944(昭和19年)11月に刊行された太宰の自伝的作品「津軽」でも、「兄の持っている綾足の画を見せてもらって初めて、津軽にもこんな偉い画家がいたことを知った」と書いている。太宰の父は高額納税者として貴族院議員を務め、兄は北津軽郡金木町(現・五所川原市)の初代町長や衆議院議員を務めるなど、津島家は地元有数の資産家・有力者だったことが知られている。

 植松さんは「凌岱は大胆な筆使いが特徴で、ユニークな一面がうかがえる作品もあり、今回の展示図録は売れ行きが良く、ポストカードは一度売り切れになって会期中に増刷再販したものもあるほど。当館での展示は終わったが、凌岱の魅力をより多くの人に知ってもらうきっかけになれば」と話す。

 「建部凌岱展」の展覧会図録は同館受付と通販で販売している。価格は2,500円。

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