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板橋の地域振興団体が「太宰治の義姉の夫と詩人」の情報提供を呼び掛け

詩集「天使魚」掲載の著者(小島一晃)近影と表紙

詩集「天使魚」掲載の著者(小島一晃)近影と表紙

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 板橋区の地域史や文学史をテーマにしたイベント企画などを手掛ける「いたばしものがたりプロジェクト」が現在、作家・太宰治の親族と、太宰が序文を寄稿した詩人に関する情報提供をSNSなどで呼び掛けている。

「天使魚」掲載の序文「蒼穹答えず」の一部

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 今回、同プロジェクトの代表のトモタ佳さんが案内役を務めるユーチューブ番組「勝手にイタバシものがたり」で「太宰治と上板橋」をテーマにした生配信を7月18日に行い、太宰の義姉の夫・山田貞一(さだかず)さんと、ある詩集に太宰が寄稿した序文「蒼穹(そうきゅう)答えず」を取り上げる。

 トモタさんによると、山田さんは太宰の2人目の妻・津島(旧姓・石原)美知子さんの姉、石原宇多子さんと結婚した人物で、太宰の作品「女生徒」の表紙装丁画を描いたことで知られているという。山田さんが東京帝国大学工学部(現・東京大学)出身の技師で、板橋区上板橋町7丁目(当時)に住んでいることなどを記した太宰の手紙が残されている。山田さんは当時、板橋区にあった東京火薬工業に勤務していたことや、夫婦の間に二人の子どもがいたことなどが分かっているが、「女生徒」の装丁画を描くことになった経緯は伝わっておらず、ほかに絵画や挿絵作品などがあったのかを調べたいとしている。

 「蒼穹(そうきゅう)答えず」が掲載された詩集「天使魚」(1940年・昭和15年6月20日発行、赤塚書房)の著者・小島一晃(いっこう、または、かずあき)さんの詳しい情報も求めている。太宰研究の第一人者、故・山内祥史(やまのうちしょうし)さんの調査で、小島さんは当時神奈川県診療所で療養していたこと、板橋区上板橋町2丁目(現・板橋区南常盤台)に住居があったことが分かっているものの、それ以上の情報やその後の消息がつかめていないという。

 2人の人物の背景や現状のトモタさんの調査状況などを番組内で明らかにする。同番組は、ユーチューブに開設した「板橋駅まちづくり応援団」チャンネルで配信する。

 トモタさんは「太宰の娘の作品が原案となったNHK連続ドラマ小説『純情きらり』の全話再放送が7月8日から始まり、太宰の孫の作品が15日に発表される芥川賞の候補作になるなど、今月は期せずして太宰ゆかりの人物にスポットが当たる月になった。この機会に、太宰と板橋区のつながりを多くの人に知ってもらい、山田貞一さんの作品や小島一晃さんの詳細が明らかになるきっかけになれば」と話す。

 NHKで2006(平成18)年に放送された「純情きらり」は、太宰の次女で作家の故・津島佑子さんが石原家の家族をモデルに描いた「火の山―山猿記」が原案。ドラマには、石原宇多子さんをモデルにした有森杏子(ありもりももこ)役を井川遥さんが演じ、太宰がモデルの天才画家を西島秀俊さんが演じている。津島佑子さんの娘・石原燃(ねん)さんの作品「赤い砂を蹴る」が候補作に選ばれた「第163回芥川賞」の選考会と受賞作発表は7月15日に行われる。

 18日は番組配信会場となる「いたばし研究所」で飲食付きの来場観覧も行う。17時開場、17時15分開演、17時30分ネット配信開始。参加費2,000円。定員は5人(来場者限定の特典資料配布あり)。来場観覧の申し込みは、「いたばしものがたりプロジェクト」を運営する任意団体「ちいくタイム」のツイッターとフェイスブックページで受け付ける。

 山田貞一さんと小島一晃さんに関する情報は、同団体のツイッターとフェイスブックページ、電話(TEL 090-6016-7869)で受け付ける。

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