信用金庫は地域との結びつきが強い金融機関。特にその地域を回る営業職員は地域の企業や個人の困りごとに寄り添い、その解決をすることで地域の発展に寄与している。今回は、東京都、埼玉県、一部千葉県を中心に支店があり、板橋区内に4つの支店を持つ城北信用金庫の若手3人に、板橋区での取り組みや役割、これから目指すべき姿などを聞いた。
川又 康征さん
2014年入庫。志村支店リレーショングループ(営業)所属。2年半ほど前から3店舗目となる志村支店に勤務。千葉県柏市出身。
小野 将幸さん
2023年1月入庫。常盤台・上板橋支店リレーショングループ(営業)所属。北海道旭川市出身。
辻永(つじえ) 大河さん
2022年入庫。赤塚支店リレーショングループ(営業)所属。神奈川県横浜市出身。
ーなぜ城北信用金庫に入庫したのですか。
小野 モノではなくサービスを売る金融機関は、お客さまと近い距離で接することができます。中でも信用金庫はその距離が近く、お客さまの真の課題を解決できるような仕事ができるのではと思ったからです。
川又 大学は文系(経営学部)でしたが数字が好きで、文系で数字を扱うとなると金融かなと思ったのがきっかけです。就職活動をしている中で信用金庫という業種を知り、地域に密着した金融機関で非営利というのも面白いと思って興味を持ちました。
転居を伴う異動がないのでワークライフバランスを取りやすいというのも魅力に感じた点です。
辻永 17年間野球をやっていて、就職を考え始めた時も正直なところまだ頭は野球のことでいっぱいだったのですが、当金庫の「JOHOKU Athletes Club」という取り組みを知って興味を持ちました。
小野 今4人の女性アスリートが職員として競技と仕事の両立を図っています。これは当金庫の強みだなと思いますね。
ー「JOHOKU Athletes Club」のほかにも、城北信金さんはユニークな取り組みをいろいろとしていますよね。
川又 そうですね。他の信金さんやお客さまから「城北はいろいろなことをやっているよね」とよく言われます。アスリートのことを知っているお客さまも多いですし、クラウドファンディングの手伝いをしていることに興味を持っていただくお客さまも少なくありません。
ほかにもユーチューブやラジオなどさまざまなメディアを持っていたり、地域の行事とも積極的に連携していたりするなど、他行ではなかなかない取り組みがたくさんあります。
小野 入庫前に当金庫のユーチューブを調べたのですが、理事長が出演していてびっくりしました。理事長自身が当金庫の取り組みなどを話していて、他の信金とは違うなと感じたことを覚えています。
辻永 JSパートナーズというコンサルティングサービスに特化した関連会社を立ち上げて行っている事業も良いなと思っています。相続など複雑な問題を専門家と連携して解決したり、取引先をマッチングするオンラインコミュニティー「COSA ON online」を立ち上げたり…。
川又 いろいろな取り組みが地域のお客さまに根付いてきていて、われわれのブランド化のようなものができつつあるのかなと感じています。
ー確かに他の金融機関ではない取り組みが、城北信用金庫の特徴の一つになっていますよね。
辻永 庫内でも「ブレイクスルー」という言葉をスローガンに掲げて、壁や障壁を突破しようといろいろな取り組みをしています。風土改革や働き方改革に取り組む「城北ハタラクプロジェクト」の一環として行っている服装の選択制が、個人的に楽しいと思っています。TPOを考えて自由に服装を選べるようになり、営業店は今年の夏に試行を始めました。
ーそれぞれの支店の特色や役割を教えてください。
川又 志村エリアは町工場と印刷業を営む会社が非常に多い地域です。工場に伺ってコミュニケーションを取る中で、現状を把握したり、課題を聞き出したりして、手伝えることがないか考えています。
辻永 赤塚支店は下赤塚駅から徒歩10分くらいのところにあります。法人のお客さまの7割程度が建築・不動産関係です。
私は商店街を担当しています。融資の金額では建築・不動産業界と比べたら小さいのですが、それぞれの悩みや商店街の横のつながりを聞き取りながら、地域を支えていると思っています。
小野 常盤台・上板橋支店は中板橋・大山も支店のエリアですが、支店からは少し距離があるのがお客さまからするとネックかなと思います。ただ、距離が遠くても付き合いのある取引先もたくさんあるので、まず職員が働きがいのある店にして、お客さまと相思相愛となれる環境を築こうという目標を立てています。
ー支店や個人で具体的に取り組んでいることはありますか。
川又 志村支店は蓮根駅から徒歩30秒くらいの場所にあるため、来店客数が比較的多い支店です。お客さまの数が多いと、窓口はお客さまの要件の対応に追われがちですが、一歩踏み込んだ対応もできるよう、窓口の職員も商品の勉強会などをしています。
個人的には、1日最低1件は新しいお客さまに会えるよう頑張っています。
小野 常盤台・上板橋支店に限りませんが、支店全体でお客さまの課題解決ができるよう、1日活動して得た情報はちょっとしたことでもシステムに入力して情報共有しています。
辻永 私は今実際に商店街のお客さまから助成金のお悩みを受けていて、産業振興公社の方と連携して申請の手続きを踏んでいるところです。これが成功すれば自分にとっても良い経験になると思っています。
ー最後に、皆さんが地域で活動される上で大切にしていることを教えてください。
辻永 城北信金の理念である、愛され力・寄り添い力・課題解決力を常に念頭に置いていています。愛され力、寄り添い力は実際にお客さまと顔を合わせて悩みを聞いたり、話をしたりする中で必要なもので、他愛のない雑談も情報の宝だと思っています。課題解決力は、地域の方の悩みを解決するという信金の基本の姿ですね。
川又 株式会社とは違って利益を目的とせず、まずお客さまのことを考えて行動するというのが一番大事かなと思っています。古い言葉ですが「先義後利」という考えです。
お客さまのことを考えて課題解決を支援していけば、必然的にお客さまからの信頼を得て、後からおのずと利益がついてくるはずです。そうすれば他の相談もしていただけるようになり、われわれの商品のラインアップを生かすという好循環が生まれると思います。
辻永 2人も話したように、お金が発生しない業務に価値があると考えています。私がよく回るエリアが駅に近いので、道端でお客さまと会う機会がすごく多いんです。会うとあいさつをするのですが、そういう積み重ねでわれわれのファンが増えるのかなと思っています。
小野 お客さまとの距離が近いというのはほかの金融機関とは違う一番の強みですね。何かあった時の信頼できるビジネスパートナーとでもいうような、ちょっとした疑問が聞ける近い関係であることが大切だなと。
それも景気の良い会社だけに訪問するだけでなく、そうでない会社に行って、今後どう良くしていけるのか、課題解決の手助けをするのもわれわれの仕事だと思いますね。
川又 板橋区は印刷業の町工場が非常に多く、今ペーパーレス化が進んでいるので、厳しい状況のお客さまもいますよね。そういったお客さまをわれわれの知識やフォローが手厚い板橋区の振興公社と連携しながらサポートしていきたいと思っています。
ー苦しい状況の時に寄り添ってくれる人が地域にいると心強いですね。
小野 地域との関わりでいうと、祭りもけっこう大切だなと思っています。どの信金も地域のお客さまとの距離が近いと言いますが、実際に地域の祭りに参加しているところは少ないのではないでしょうか。昨年はときわ台の天祖神社のみこしを担がせてもらって、地域の方とグンと距離が近づくいい機会になりました。
特にときわ台支店・上板橋支店の辺りは行事が多く、他の地域の支店だとなかなかできない経験ができていると感じています。
辻永 地域の皆さんに寄り添って、城北のあの人に悩みを相談したい、会いたい、と言われるような職員になりたいですね。
小野 信金は地域があって初めて成り立つ仕事だと思っています。融資も預金もそうですが、地域の発展のために何ができるか、お客さまと職員の良い関係をどうやって構築できるか考えることが今後もやるべきことではないかなと思っています。
ーそういう思いで活動されている方々がいると思うと、区民としても心強いです。本日はありがとうございました。