いたばし総合ボランティアセンター(板橋区本町)で12月7日、「回想プロジェクトTOKYO(トーキョー)in 板橋 戦争と障害者福祉を考えるトーク&ライブ」が開かれる。
「回想プロジェクトTOKYO」は、シンガー・ソングライターの清水まなぶさんが聞き取りをした戦争体験に関する話を題材にしたトークと音楽のライブイベント。昨年3月と12月に板橋区内で、今年10月には東京都戦没者霊苑(東京都文京区)で「戦争体験トーク&ライブ」を行い、今回で4回目となる。
清水さんは2000年に小室哲哉さん・木根尚登さんプロデュースでメジャーデビュー。CDリリースを重ねながらライブコンサートを中心に音楽活動を行い、ラジオパーソナリティーやテレビ番組出演、イベント司会など幅広く活躍。ライフワークの一つとして、従軍体・戦時体験者から聞いた話と歌を交えた講演活動「回想プロジェクト」を、亡くなった祖父の従軍日記を基に作曲した「回想」をきっかけにして精力的に取り組んでいる。2017年10月に初となる著書「追いかけた77の記憶 信州全市町村 戦争体験聞き取りの旅」を出版し、同書は第23回「平和・協同ジャーナリスト基金賞」奨励賞を受賞した。
今回のトーク&ライブでは、東京都世田谷区の光明(こうめい)養護学校(旧・光明学校、現・光明学園)元教員の竹下忠彦さんと、卒業生でバンジョー奏者の佐々木卓司さんをゲストに招き、同校の学童疎開に関する竹下さんの講演と、「戦争と障がい者福祉」をテーマにした佐々木さんと清水まなぶさんによる語りと音楽ライブをそれぞれ行う。
光明学校は日本初の肢体不自由者のための公立学校として1932(昭和7)年に開校。米軍による空襲を受けた太平洋戦争末期、同校に通う身体障がい者の児童は戦力外として学童疎開の対象から外され、障がい者の養護に当たる教職員らも「非国民」と周囲にののしられたという。当時の校長・松本保平(やすひら)さんの尽力もあり、長野県千曲市の上山田ホテルが学童疎開を受け入れて教職員らと児童で集団疎開を実施するも、疎開開始直後に東京の校舎を空襲で失い、戦後に新築校舎が完成するまで続いた4年間の学童疎開は「最も遅く、最も長かった学童集団疎開」とされている。同校の学童疎開に関する記録は「信濃路はるか」(光明学校の学童疎開を記録する会=編)や、同校児童で学童疎開に参加した今西美奈子さん作の絵本「千曲川のほとりで」などで知られるようになり、NHKで「肢体不自由児たちの学童疎開」として特集番組が放送されるなどして話題になった。
清水さんは「一昨年、創業100年を前に上山田ホテルで学童疎開に関する記念碑建立イベントがあり、前夜祭でトーク&ライブを行う機会を頂いたことで光明学校関係者とあいさつする機会を得た。先日の戦没者霊苑でのイベント開催も、その時の縁があって実現した。光明学校の学童疎開に至る話は、有事に際しても心豊かに手を取り合っていけるのかを考えさせられる出来事。戦争体験と併せて、人権や障がい者福祉のあり方について考えるきっかけになれば」と話す。
13時開場、13時30分開演。チケット(事前予約)は、一般=1,500円、大学生・高校生・障がい者と介助者1人=500円、中学生以下無料。予約申し込みは特設サイトで受け付けている。