板橋区が7月10日、児童養護施設まつば園(板橋区氷川町)で「児童養護施設卒園者住まい応援プロジェクト」の助成決定書交付式を行った。
板橋区が推進する「児童養護施設卒園者住まい応援プロジェクト」の一環。板橋区内に3カ所ある児童養護施設の、大学や専門学校に現在進学・在学中の卒園者を対象に、2019年度は対象者3人に各自1カ月を3万円上限で家賃など半額を、4年間を上限に卒業まで助成する。
同プロジェクトでは、3施設の卒園者を対象に今年4月に助成希望者を募集し、5月に審査を行った上で助成対象者を決定。6月からガバメントクラウドファンディング(以下GCF)サービス「ふるさとチョイス」と区役所地域振興課窓口や金融機関を通じ、助成のための寄付金募集を行っていた。いずれの寄付も「ふるさと納税」として税金控除の対象となる。GCFなどで集まった寄付金は「いたばし応援基金」で管理し、目標金額を上回って集まった寄付額は次年度以降の助成金に繰り越す。仮に寄付額が目標額に到達しなかった場合は「いたばし応援基金」で経費を賄うとしている。
板橋区は2000(平成12年)年3月、区への寄付金の積み立て・運用と、寄付者の意思を反映する目的で使途を選べる寄付制度を創設。寄付金受け入れのための専用基金「いたばし応援基金」を開設した。板橋区基本構想に掲げる「子育て」「教育」「福祉・介護」「健康」「文化・スポーツ」「産業」「環境」「防災・危機管理」「都市づくり」の9政策分野を対象に、区では寄付金がどの分野に割り振られたのかを広報紙やウェブサイトで公開している。
坂本健板橋区長は「児童養護施設卒園者を対象に、家賃補助に目標を絞ったクラウドファンディングの募集は東京23区初。行政だけではなく、地域全体で子どもの未来を支える仕組みを作りたい」と話す。
この日行われた交付式では卒園者に助成決定通知書と応援メッセージが手渡された。卒園者たちは「支援者の方の期待に応えられるよう、努力して将来的には第一線で活躍できるようになりたい」「今後は自分が働いて後輩たちの支援をできるようになりた」と笑顔を見せていた。
交付式に出席した板橋区子ども家庭部子ども政策課長の雨谷(あまがい)周治さんは「このプロジェクトは、GCFや『いたばし応援基金』の仕組みを活用しながら、多くの方の力添えも得て子どもたちの夢を支援しようというもの。お金を集めることだけが目的ではなく、就職か進学かの選択肢が選べない子どもたちの問題を提起して、生活面のサポートにつなげるのが目的。生活環境が整わないまま子どもたちが夢をあきらめてしまわないよう、子どもたちの無限の可能性を引き出すことにつなげたい」と意気込む。
同プロジェクトは6月4日、目標金額を540万円に設定して寄付金募集を始め、7月23日現在、目標額の60パーセントとなる約325万円が集まっている。
募集締め切りは2020年2月29日。