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板橋区のNPOが店舗にマスクを無料設置 思いやりあるまちづくりを手助け

「マスクをどうぞプロジェクト」の案内と共に包装したマスクを店舗に配布・設置

「マスクをどうぞプロジェクト」の案内と共に包装したマスクを店舗に配布・設置

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 板橋区の特定非営利活動法人「Si’s(以下、シーズ)」が現在、板橋区を中心にマスクを商店などに無料設置する「マスクをどうぞプロジェクト」を行っている。

シーズ代表理事の佐藤まよさん

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 シーズの設立は2013(平成25)年4月。同法人の会長・山木陽介さんが経営する調査会社で行っていた教育機関向けのいじめ問題に関するボランティア調査などの慈善事業を母体にNPO法人を立ち上げ、学校や地域におけるいじめや非行、各種ハラスメントの防止に向けた取り組みのほか、既存団体と連携してJICA(国際協力機構)の委託でカンボジアの学校・医療機関の視察や助成活動などを手掛けてきた。現在も学校や地域における防犯協力や環境整備、災害時の救援活動をはじめ、医療機関や療育支援者と連携して発達障がいの人とその家族に向けた社会医療、福祉に関する安全情報の調査と発信を行うなど、「子どもたちの心身の健全な成長」「安全で豊かなまちづくりと文化の発展」「平和で活力のある社会づくり」につながる社会福祉活動に広く携わっている。

 今回の「マスクをどうぞプロジェクト」は、シーズ代表理事の佐藤まよさんが重度のアレルギー持ちでマスクの使用が欠かせず、以前から声優や歌手のキャスティングなどを手掛ける仕事も行っていることもあり保湿の重要さを説き、東日本大震災を機にマスクを防災グッズとして備蓄することを周囲に強く訴えてきたことに端を発するという。厚労省が提唱する「咳(せき)エチケット」の浸透を目的にシーズのSNSで情報発信を始め、佐藤さん自身のために備蓄していたマスクや新たに私財で購入したものを「マスクをどうぞプロジェクト」の名称で希望する店舗に配布・設置する活動を2月初旬にスタートした。

 現在までに、板橋区を中心に、豊島区・北区・中央区・武蔵野市などのコワーキングスペースや飲食店、整骨院などの従業員や店舗来店者向けに約1000枚のマスクを無料配布・設置交換した。

 マスクの設置条件は、「妊婦や子どもが集まる店」で「SNSアカウントで発信を行うことができる」「店舗内の衛生面が配慮されている」「店主やスタッフが積極的に社会活動をしている」などで、事前に佐藤さんが来店客として店舗に足を運び、トイレや洗面所などの衛生面をチェックした上で認定店舗を決め、マスクを設置・補充している。

 「認定店舗のオーナーやスタッフの方々との情報交換を大事にしているので、活動拠点の板橋区から1時間圏内の店舗に限って活動を行っている。認定店はフェイスブックやツイッターを通じて店主や従業員の方を紹介するため、写真撮影と配信することへのご理解をお願いしている」と佐藤さん。各認定店舗によってマスクの設置場所や配布方法はさまざまで、1人1点までを前提に、レジで手渡しするところもあれば、来店者が自由に取れるようにしているところもあるという。

 「WHOが新型コロナの感染予防にマスクは不要、過度の使用は控えるようにと指針を示したものの、インフルエンザなど他の感染病予防や、花粉症などのアレルギー体質、嗅覚過敏や、素顔や傷を隠すなどの理由でマスクが必要な人はいる。困っている方に優しく手を差し伸べて手助けするように、『マスクをどうぞ』という誰かを思いやる活動が多くの人に受け入れられて広まればうれしい」と佐藤さん。

 「プロジェクトのスタート当初、新型コロナウイルス感染の懸念からマスクの買い占めや転売による高値取り引きが増え、薬局などに連日行列ができる状況は想定になかった。早くマスクが市場に出回り、必要としている人の手に届くことを祈りたい」とも。

 「マスクをどうぞプロジェクト」では、「男性(大人)用」と、ピンクのシールを貼った小さめサイズの「女性・子ども用」の2種類を用意。認定店舗情報はシーズのフェイスブックやツイッターで配信する。店舗の認定、マスクの配布・補充は、配布予定の在庫が無くなり次第終了する。

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