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板橋・仲宿「板五米店」、建物の文化財登録調査進む 地域の魅力再構築へ

オープニングセレモニーでにぎわう「板五米店-旅とお結び-」

オープニングセレモニーでにぎわう「板五米店-旅とお結び-」

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 板橋・仲宿商店街のおむすびカフェ&多世代交流スペース「板五米店(いたごこめてん)-旅とお結び-」の建造物の板橋区指定有形文化財登録に向けた調査が現在、進められている。

「昼餉セット」のほか、日替わり「お結び」や和スイーツなどを提供する

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 板五米店は道路側に面して下屋庇(げやひさし)という1階部分の屋根があり、建物の両側をれんがの壁で挟んだ、近世の町家に洋風の意匠を施した土蔵造りの建造物。東京都教育庁が2009(平成21)年3月発行した「東京都近代和風建築総合調査報告書」では1917(大正6)年築とされていた。板橋区教育委員会が2019年7月に実施した令和元年度の板橋区文化財保護審議会で同店建造物など3件を新たに文化財登録・指定することについての諮問(しもん)が行われ、2020年春先の答申に向けて調査。その過程で、柱に1914(大正3)年築を示す墨書きが発見されたという。令和元年度の文化財登録・指定に向けた調査が進められている他2件は、無形文化財(工芸技術)「染小紋(そめこもん)」と、記念物(史跡)の「不動の滝」(板橋区赤塚5)。

 同店は12月15日に正式オープンし、同日は限定30食のランチ営業の後、オーガニックバンド「あめすい」が楽器演奏しながら店舗前の旧中山道を子どもたちと練り歩いた。夕方からは板橋区によるオープニングセレモニーが開かれた。東京家政大学の学生による太鼓演舞や、坂本健板橋区長らによる店先でのテープカットなどがあり、式典終了後には来場者に甘酒が振る舞われた。

 2階ギャラリースペース「マチノギャラリー」にはオープニングセレモニーに合わせて、板橋区郷土資料館所蔵の染小紋「板橋宿」の着物などを公開展示。染小紋の着物は、無形文化財(工芸技術)保持者だった江戸染小紋の職人・故・小林茂徳さんの手によるもので、江戸時代の宿場町の風景が細微な紋様で描かれている。セレモニーを終えて通常営業中の現在、昭和30年代の商店街のにぎわいを捉えたモノクロ写真のパネルや、加賀藩下屋敷の敷地絵図や年代物の調度品などを引き続き展示する。

 板五米店がある板橋宿エリアは歴史的資源やレトロ建築などが今なお多く存在する。2017(平成29)年に国史跡に指定された「旧陸軍板橋火薬製造所跡」を近代化・産業遺産のシンボルとする「史跡公園(仮称)」の工事や、東板橋体育館(いずれも板橋区加賀1)に併設する新「植村冒険館」の整備も進められている。2020年夏ごろには「こども動物園」(板橋区板橋3)のリニューアルオープンが控えている。

 区職員は「隣接する板橋区加賀の各スポットを含め、観光エリアとしての魅力再構築に区内外の注目度が高まっている。区としても今後、仲宿商店街が運営する板五米店を核として、商店街や『向こう三軒両隣』さんら民間業者と連携して、地域全体の活性化や魅力発信に取り組んでいく」と意気込む。

 向こう三軒両隣の永瀬賢三さんは「正式オープンから2週間足らず。来店いただいた大勢の方から叱咤(しった)激励の声を頂いている。限られた予算の中ですぐに実現できること、実現まで時間のかかることなど頭を悩ませる部分も多いが、商店街や区と連携しながら、多くの支援者や商店主のサポートなども得て、時に形を変えながらも板五米店と地域の再生に向けて大勢の方と歩みを進めていきたい。現在トライアル価格で提供中のメニューについても検討を進めていく」と話す。

 メニューは、日替わり「お結び」(170円~)、野菜たっぷり日替わりみそ汁(300円)、「昼餉(ひるげ)セット」(おむすび2個・日替わりみそ汁、総菜、880円)、国産小豆のお汁粉、だしの効いたお雑煮(以上650円)、生麩(ふ)入り白玉クリームあんみつ(850円)など。席数は、1階は2人掛けテーブル6席、2階は8~10人利用の個室3間。貸し切り営業時は、ギャラリー兼ワークショップスペースも開放する。

 営業時間は11時~17時(ラストオーダー)。18時~21時30分は事前予約制で貸し切り営業のみ行う。問い合わせ・予約は電話(TEL 03-6915-5576)で受け付ける。

 ワークショップや街歩きなどのイベント情報は、店頭や同店ホームページで案内する。

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