板橋区公文書館(板橋区本町、TEL03-3579-2291)で7月27日、体験講座と見学ツアー「資料が語る昭和の家族と文化」が開催される。
毎年7月下旬に行っている体験講座・見学ツアーは、板橋区の歴史や収蔵資料にフォーカスを当てた座学講座や街歩きのほか、公文書館の利用体験や所蔵資料の一部公開などで幅広い世代が集まる人気イベントの一つとなっている。
同施設は2000(平成12)年4月、東京23区初の区立公文書館として開設し、2002(平成14)年12月に当初の板橋産文ホール(現・板橋グリーンホール)内から現在地に移転。開かれた区政運営の推進と、地域の歴史・文化に対する理解を深めてもらうことを目的に、同区の公文書や行政刊行物の収集・選別・整理、貴重な郷土史料や区民から寄贈を受けた資料などを多数保管している。
日本民俗学の研究者で、板橋区の文化財保護審議会会長や「板橋区史」の編さん統括など文化行政に多大な貢献を果たした故・櫻井徳太郎さん寄贈の民俗学・歴史関係の学術資料「櫻井徳太郎文庫」約3万8500点のほか、「板橋区史」編さん事業で収集された同区に関する古文書類も数多く引き継ぎ、館内ではこれらの資料を閲覧することができる。
今年は小学5年生~一般を対象に3部構成で2講座と見学ツアーを開く。午前は「公文書館のつかい方 資料から浮かび上がる『昭和』の時代」と題し、家族社会学を専門に昨年著書を出版した明星大学人文学部助教・本多真隆さんが登壇。夫婦愛や親子愛のような情緒によって結びついた家族のイメージがどのように形成され、明治政府が作り上げた「家制度」とどう関わり合ってきたのかを解説する。
午後は、人々がどのようにメディアから発信される情報を受け取ってきたのか、特に映画を中心に歴史的・社会学的な見地から幅広く研究する大東文化大学社会学部講師・近藤和都さんによる講座「歴史資料からたどる映画館と観客文化史」を行った後、公文書館職員による利用体験・見学ツアーを行う。
同館職員の西光三さんは「昭和の『家族』や『映画』を中心とする文化に詳しい、気鋭の若手社会学者を講師に招いた。元号が変わって、さらに遠のいたようにも感じる昭和の時代について、当時の写真や資料をひも解きながら、昭和に生まれ育った方もそうでない方も一緒に楽しんでもらいたい。子どもたちにもひと昔前の板橋の人々の暮らしに興味を持ってもらい、夏休みの自由研究のテーマとして選んでもらえたら」と話す。
開催時間は、午前の講座=10時~11時30分、午後の講座=14時~15時30分。公文書館見学ツアー=15時45分~16時45分。定員は各回40人。参加無料。はがきで要事前申し込み(7月12日消印有効)。参加申し込み手順は「板橋区公文書館」ホームページで公開している。