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板橋に金沢から「氷室の雪氷」 区観光大使・杉浦太陽さん来場も

氷室の雪氷を触れる保育園児たちと杉浦太陽さん

氷室の雪氷を触れる保育園児たちと杉浦太陽さん

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 板橋区役所本庁舎(板橋区板橋2)の区民イベントスクエアで7月9日、石川県金沢市から届けられた「氷室の雪氷(せっぴょう)」の一般公開式が行われた。

飛脚に扮した石川県トラック協会青年部の会員

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 湯涌温泉観光協会(金沢市湯涌町)のホームページによると、江戸期の藩政時代、加賀藩では冬場に積もった積雪を氷室に貯蔵し、旧暦6月1日(現在の7月1日頃)に江戸の徳川将軍へ献上する習わしがあり、五代藩主・綱紀公のころは、現在の金沢市近郊や市内に多くの氷室が設けられ、町民も目上の人への贈答品などで夏の氷を重宝していたという。金沢市では毎年7月1日を「氷室の日」と定め、氷の代わりに麦で作った「氷室まんじゅう」を食べて無病息災を願う風習が現在も残っている。

 機械製氷が盛んになるにつれ、1940年初頭には氷室の氷は使われなくなって一部を残して姿を消した。かつては氷室小屋が散在し飲食物の貯蔵と病人対策に利用していた湯涌温泉観光協会は、1986(昭和61)年に金沢市の協力を得て氷室を復元し、湯涌温泉の観光PRを兼ねて毎年1月の最終日曜に地元住民や金沢市民、観光客で氷室に雪を入れて固める「氷室の仕込み」を行い、6月末に「氷室開き」をして石川県知事や金沢市長に雪氷を届ける江戸期の伝統行事を再現し、2001(平成13)年7月には加賀藩下屋敷があった板橋区へ雪氷を初贈呈。2010(平成22)年からは毎年、板橋区役所で贈呈式が行われ、「氷室の雪氷」の解説パネルと合わせて一日限定公開されている。

 同じく下屋敷があった目黒区には2017(平成29)年から、上屋敷があり8月4日に金沢市と友好交流都市協定を結ぶ文京区にも今年初めての「氷室の雪氷」が贈呈されている。

 会場にはこの日、普段なかなか見ることのできない「氷室の雪氷」に触れようと集まった近隣の保育園児や区役所に訪れた区民らで人だかりができ、江戸時代さながらの飛脚姿で登場した運び手の姿や雪氷のお披露目に拍手や歓声が上がり、雪氷に触れた園児からは「冷たい!」「気持ちいい」などとはしゃぐ声が聞かれた。

 湯涌温泉観光協会職員によると、今年は暖冬の影響で十分な量の雪が確保できず、現地の氷室に仕込んだ雪氷が「氷室開き」を前にすべて解けてしまうという、過去34年間で初めての事態に見舞われたという。当日は別の場所に保存してある予備の雪を使い、「地域の交流は解けないように対処できてほっとしている」と話す。

 同日、板橋区観光大使で俳優の杉浦太陽さんも来場。同区の観光大使の任期は2年で、「観光大使」制度を創設した2017(平成29)年の7月から観光大使を務めた杉浦さんは任期満了となるが、就任以来さまざまなイベントに積極的に参加し、区のPRに大いに貢献したとして、この日再任が発表され委嘱状贈呈が行われた。

 杉浦さんは、2018(平成30)年3月に観光大使の任命を受けた腹話術師・いっこく堂さんと共に2人体制で観光PRを行っていく。

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