板橋区立文化会館(板橋区大山東町)の大ホールで2月11日・12日の2日間、板橋区吹奏楽団創立30周年記念イベント「第30回ポピュラーコンサート」が開かれた。
板橋区吹奏楽団 中学生からの手紙きっかけに創立30周年(動画ニュース)
各日3部構成で、同楽団による吹奏楽のステージとステージドリルのほか、11日は板橋区立赤塚第三中学校吹奏楽部、12日はバイオリニストの石田泰尚さんをゲストに迎えたコラボレーションの演奏ステージを披露。2日間で全17楽曲を演奏した。
同楽団の設立は1986(昭和61)年。区内の高校生が、区内の吹奏楽愛好者882人の署名と共に、「区民の誰でも参加できる吹奏楽団を作ってほしい」という内容の手紙を当時の板橋区長宛てに送ったことがきっかけとなって結成された。
同区で団員募集を行ったところ、想定を上回る応募が集まったためにオーディションを開催、合格した団員94人によって同年12月に板橋区立東板橋体育館のオープン記念式典でお披露目演奏を行い、翌年5月に区立文化会館・大ホールで定期演奏会を開いて以降、同会場では毎年2回、ポピュラーコンサートと定期演奏会を開き、「板吹(いたすい)」の愛称で区民や区内外の吹奏楽愛好家に親しまれている。
中でも、ポピュラーコンサートの目玉の一つとなっている「ステージドリル」は、現音楽監督である忍田博明さんによって創立10周年(1996年)の際に立ち上げられ、フォーメーションをつくりながら楽器を演奏する姿が人気となっている。同コンサート主催の板橋区文化・国際交流財団の文化係・猪俣謙斗さんによれば、「板吹といえばステージドリルと言うほど人気が高く、それが見られるポピュラーコンサートのチケットは毎年早々に前売りでソールドアウトになるほど」と話す。
2012年から同楽団の団長となり、板吹ドリル隊「Bridge Board Dangerous Temptation」のドラムメジャー(鼓手長)も務める辻啓宏さんは、現在在籍16年目。生まれも育ちも板橋区で、中学生のころから吹奏楽を始め、入団資格が得られる高校1年生の時に同楽団に入団した。「入団当時は最年少だったのが、気がつけば在籍年数では上の方に。吹奏楽が好きという共通項の中で、高校生や大学生、社会人など年の離れた人たちとの交流は、私にとっても大きな財産」と辻さん。
同楽団は、2012年に東京都吹奏楽コンクールの本選に10年ぶりの出場を果たし、2016年まで5年連続の本選出場を続け、2013年は銀賞、2014年からは3年連続で金賞を受賞している。辻さんは「メンバーがこれまで真面目に練習し、難しい曲にも果敢に挑戦してきた成果が実ってきたのだと思う。私が団長になったタイミングがたまたまそこに合致しただけ」と笑い、「でも板吹はコンクール入賞だけを目的に活動している訳ではない。演奏会が毎回満員になるよう、板橋区の人やファンの方々にこれからも支持されるよう、次の世代にこの貴重な場をつなげてこの先も長く歴史を積み重ねていけるようにしたい」と話す。
同楽団は、板橋区主催の催しや区内商店街のイベントで演奏を行うことも多く、3月19日開催の「板橋Cityマラソン」でもパレード演奏を行う予定。6月には文化会館で定期演奏会も開かれる。