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板橋・徳丸の北野神社で「田遊び」の神事 豊作祝う芸能を継承

福の種をまこうとうたいながら種まきする大稲本(おおいなもと)役と小稲本(こいなもと)役の保存会メンバー

福の種をまこうとうたいながら種まきする大稲本(おおいなもと)役と小稲本(こいなもと)役の保存会メンバー

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 板橋の徳丸北野神社(板橋区徳丸6)で2月11日、国指定重要無形民俗文化財の神事「田遊び」が行われた。

ユーモラスな人形「よねぼう」が登場して盛り上がる会場

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 徳丸の「田遊び」は毎年2月11日、徳丸北野神社田遊び保存会によって徳丸北野神社で毎年欠かさず奉納されており、千年を超える歴史を持つとされながらほぼ完全な形で現在に伝承されている。これは全国的にも珍しい例として1976(昭和51)年、国の重要無形民俗文化財に指定されている。

 この神事は、農作業に入る前に豊かな実りをあらかじめ祝福する予祝(よしゅく)と呼ばれる民俗芸能の一種で、苗代の数を調べる「町歩調べ」で始まり、太鼓の音やはやし歌の調子に合わせて四方に向かって種をまく「種まき」など、唱え言葉や所作により、稲作の一連の作業を模擬的に演じて、その年の五穀豊穣(ほうじょう)と子孫繁栄を祈願している。

 当日は朝から餅つきが行われ祭礼具の製作・修理を行い、神社の拝殿前には四方に竹を立て、しめ縄を張り巡らした「もがり」と呼ばれる舞台を作る。18時を過ぎると「もがり」中央には田に見立てた太鼓を置き、田遊びの主導となる「大稲本」(おおいなもと)、それを補佐する「小稲本」(こいなもと)と「鍬(くわ)取り」の装束を付けた保存会のメンバーがそろい、神事が始まる。

 稲穂に見立てた「早乙女」役の男児を順番に太鼓に乗せて歌いながら胴上げをする「田植え」から盛り上がり始めると、たいまつに導かれた「ひるまもち」と子孫繁栄を象徴する人形「よねぼう」が踊りながら登場し、面を付けた「太郎次」と妊婦姿の「安女(やすめ)」の夫婦、獅子、破魔矢(はまや)がそれに続く。「もがり」に向かう途中では、子宝に恵まれるといわれる「よねぼう」や安女(やすめ)のおなかに触ろうと手を伸ばす観客で盛り上がった。

 最後は太鼓の上に田遊びの用具を積上げて豊作を祝う「稲むら積み」で終了し、境内にいる全員で手締めを行った。大稲本を務めた徳丸北野神社田遊び保存会会長の石田彪(たけし)さんは「昔はこの神事が終わると春が来るといわれていた」と話す。

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