
板橋区立美術館(板橋区赤塚4)館長の松岡希代子(きよこ)さんが「第13回ブロンズ新社書店大賞」のリスペクト部門で「ブロンズ新社特別賞」を受賞し、文京区内で5月15日に行われた授賞式に臨んだ。
ブロンズ新社(渋谷区神宮前6)は、かがくいひろしさん「だるまさん」シリーズやtupera tupera「しろくまのパンツ」、リサとガスパールシリーズなどの絵本など、児童書を多く出版。「店頭で働く書店員がいなければ本は売れない」として、「敬意と感謝を伝えるため」に同賞を始めた。
「ディスプレイ部門」「ベストPOP部門」「リスペクト部門」の3部門を設け、リスペクト部門では同社社員の推薦で決まる。本来は書店員に贈られる賞だが、公立美術館館長の受賞は松岡さんが初となる。
板橋区文化・国際交流課長の高田智也さんは「区の職員が受賞したことはうれしく、『絵本のまち板橋』の魂が皆さまに伝わることがありがたい」と喜ぶ。
授賞式で、松岡さんは「これまで、美術館というフィールドで、素晴らしい作品や作家さんなど、多くの方々に出会いの場を提供し、出会いの場としての美術館を絵本と一緒に創ってきた。このような素晴らしい賞を頂けることに感謝」と喜びを伝えた。
松岡さんは1986(昭和61)年に同館へ入職後、1989(平成1)年から「ボローニャ国際絵本原画展」に携わり、製版・印刷が産業だった板橋で「ボローニャ・ブックフェアinいたばし」を招致。イタリアとの展覧会の企画交換として日本で初めての「レオ・レオーニ展」を開催するなど、絵本と関連の深い事業を手がけ、絵本に関する企画展や「夏のアトリエ」ワークショップなど、次世代の絵本作家を育成する事業に積極的に取り組んできた。日本の絵本界に多大な功績を残したと考えられることが、今回の受賞につながった。
松岡さんは、受賞の話を聞いた際、「自分が賞に該当するとは思わず、想定外で驚いた」と話し、「絵本のまち板橋として、美術館では絵本文化をいろいろな形で皆さまの目に触れるようにし、絵本クリエーターがもっと集まる場にしたい」と意気込みを見せた。