板橋区在住の郷土史家・山下徹さんが9月16日~18日、成増アートギャラリー(板橋区成増3)C室で「成増陸軍飛行場開設八十周年記念写真展」を開く。
山下さんは板橋区生まれ板橋区育ちの郷土史研究家・ノンフィクション作家で、板橋区・練馬区域の近現代史を中心に、商業雑誌や自身のブログ「板橋ハ晴天ナリ。」でコラムを執筆。長年集めた所蔵写真や映像資料を、板橋区や練馬区の公共施設が主催する企画展に提供するなど展示協力も行っている。中でも成増陸軍飛行場の研究活動で知られ、関係者らへの独自取材や収集した資料をもとにノンフィクション小説としてまとめた著書「タロ-の飛行雲-成増陸軍飛行場記-」を8月に出版した。
成増陸軍飛行場は、「帝都防衛」を目的に東京都区部に唯一置かれた陸軍の軍用飛行場で、開設から今年80周年を迎える。山下さんの著書によれば、飛行場建設の測量が始まったのは1943(昭和18)年初頭。同年春ごろに、現練馬区の土支田・田柄・高松地域(当時は板橋区)と板橋区下赤塚の地主ら地権者が板橋区役所に集められて建設への協力が求められ、6月24日に飛行場用地に決まった66世帯が同区役所に呼び出され、8月下旬までを期限に立ち退きの承諾を言い渡されたという。7月8日には豊玉刑務所受刑者らによる成増郊外での工事が始まり、9月下旬に滑走路などの整地作業を完了。突貫工事の末、10月中旬に飛行場付属施設の第1期工事が終了。12月初旬に成増へ部隊の移動を始め、12月21日に全ての移動を完了した。
戦後は連合国側に接収され、跡地はアメリカ陸軍航空軍の家族宿舎が並ぶ「グラントハイツ」となり、1973(昭和48)9月30日に日本へ返還。その後の再開発で、現在の光が丘団地や光が丘公園(練馬区光が丘ほか、一部は板橋区)を含む「光が丘パークタウン」に生まれ変わった。
今回の展示では、同飛行場の3年間の歴史をたどる解説付きで写真を展示するほか、山下さんが展示写真解説や成増陸軍飛行場や特攻にまつわる関係者の証言などを語る「成増陸軍飛行場秘蔵写真&今だから語る秘話公開」を各日3回(10時30分~、13時30分~、15時30分~)行う。
開場時間は9時30分~18時30分。入場無料。