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板橋・小茂根図書館で太宰治の文学史トーク ビブリオバトル参加者も募る

東京武蔵野病院入院時の太宰が書き込みを入れたとされる聖書

東京武蔵野病院入院時の太宰が書き込みを入れたとされる聖書

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 板橋区立小茂根図書館(小茂根1)は10月4日、作家・太宰治の作品名にちなんだビブリオバトルと文学史トークを行う。館内には関連書籍コーナーも設置する。

1936(昭和11)年に撮影された東京武蔵野病院周辺の航空写真

 太宰治と板橋区とのつながりで有名なのは、パビナール(麻薬性鎮痛剤)中毒治療で1936(昭和11)年10月13日~11月12日の1カ月間、太宰が東京武蔵野病院(小茂根4)に入院したことが挙げられる。退院後、太宰は自身の入院生活を題材に短編小説「HUMAN LOST(ヒューマン・ロスト)」を書き上げ、その後も「東京八景」や晩年の代表作「人間失格」にも東京武蔵野病院での入院に言及。「太宰の人生におけるターニングポイントの一つになった出来事」とする文学研究者らの指摘も少なくない。

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 太宰入院当時の担当医を務めた精神科医の故・中野嘉一さんは歌人・詩人としても知られ、自著のほかに太宰入院時のエピソードや病床日誌・看護日誌などの詳細を明らかにした「太宰治-主治医の記録」「太宰治-芸術と病理」などの著作がある。

 文学史トークの講師を務める「いたばしものがたりプロジェクト」代表のトモタ佳さんは「当時の太宰の麻薬中毒症状に関しては、交友関係にあった文学者らによる臆測や伝聞を中心に広まった真偽の不確かな点も多い。中野氏の著書に書かれた回想録や初見、カルテを院外に持ち出した別の医師の話題にも触れ、神奈川近代文学館所蔵で一昨年に初公開された当時の太宰自身が書き込んだとされる聖書の話なども紹介したい」と話す。

 会場の小茂根図書館は東京武蔵野病院から徒歩10分圏内にあり、「地名誕生から55年を迎えた小茂根地域の歴史も知ってもらえたら」とも。

 当日は文学史トークの前に、小茂根図書館としては初開催となるビブリオバトルも行う。ビブリオバトル普及委員会(ビブリオバトル協会事務局:京都府)の関東地区普及委員・高橋一彰さんが進行を務める。

 ビブリオバトルは「本の紹介を通じたコミュニケーション」を目的に、「バトラー(発表者)」が持ち寄った書籍を各自5分で紹介し、ディスカッションと投票を経て「チャンプ本(=一番評価された本)」を決定する書評会形式のプレゼンテーションゲーム。読解力やプレゼンテーションスキルが養えると、小中学校や高校・大学内イベントや図書館主催イベント、一般企業の研修などでも行われている。今回、太宰治の代表作にちなんだ「人間失格」をテーマに参加者を募り、広い意味で自己肯定感や挫折からの再スタートなどの内容を扱う書籍を紹介し合う。

 ビブリオバトルは開場=12時45分・開始=13時、定員は見学・投票参加者を含めて20人。文学史トークは開場=14時45分・開場=15時、定員20人。いずれも参加申し込みは小茂根図書館1階カウンター、または電話(03-3554-8801)で受け付ける。参加無料。

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