板橋区公文書館(板橋区本町)で7月28日、体験講座・見学ツアー「いたばしの“歩き方”を学ぼう!」が開かれた。
午前は、歩き旅応援舎・代表の岡本永義(おかもと・ながよし)さんを講師に「街歩きの達人に学ぶ『歩いて知る 日本橋から板橋宿』」の講義が行われた。東海道の予備として整備された中山(なかせん)道と、日本橋から京都へと向かう69の宿場のうち最初の宿場に当たる板橋宿の歴史を案内。道中に点在する名所・旧跡などを独自の視点から「オーソドックスなもの」「マニアックなもの」に分類しながら解説し、街歩きのポイントとして「気になるものを見つけたら写真を撮影し、メモを取る。それを基にネット検索だけでなく、図書館や公文書館を活用して調べを進めていくことで世界が広がっていく」と説明した。
昼休憩を挟み、午後からの「公文書館活用術!『いたばしの調べ方』」講座では明星大学人文学部人間社会学科准教授で専門社会調査士の熊本博之さんが登壇。インターネット上の情報の不正確性や匿名性について言及した上で、「なるべく信頼できる情報源に当たり、誰が、いつ、どの媒体に、どういう目的で書いたものかを判別する必要がある」といった調査のポイントを説明。板橋区の成り立ちと変遷や、区内商店街・学校・団地の歴史について解説した後、同館職員による「公文書館見学ツアー」が行われて書庫などを回った。
同館職員の西光三さんは「台風など悪天候の懸念もあったが、当日の欠席は思いのほか少なく、多くの参加者に楽しんでもらうことができた。地域の歴史や民俗学研究、古地図や写真資料探しに公文書館が活用できることを、板橋区民に限らず広く一般の方々に知ってもらい、気軽に足を運んでほしい」と話す。
同館は2000年4月、東京23区初の区立公文書館として板橋産文ホール(現・板橋グリーンホール)内に開設され、2002年12月に現在地に移転。開設以来、開かれた区政運営を推進する目的で同区の公文書や行政刊行物を歴史資料として収集・選別・保管・整理し、地域の歴史や文化への理解を深めてもらうべく資料公開している。
日本民俗学の大家で、板橋区の文化財保護審議会会長や「板橋区史」の編さん統括など文化行政に多大な貢献を果たした故・櫻井徳太郎さんから寄贈を受けた民俗・歴史関係学術資料「櫻井徳太郎文庫」約3万8500点のほか、板橋区史編さん事業で収集された同区に関する古文書類も数多く引き継ぎ、これらの資料も閲覧室で申請して館内閲覧することができる。