板橋区赤塚にあるカフェ&ギャラリー「Cafe de Guy(カフェ・ド・ギィ)」(板橋区赤塚新町1、TEL 03-3939-0808)の店先と店内を会場に10月21日~23日、アーティストと地域の交流イベント「“小さなパリ”『赤塚マルシェ』」が開催される。
山下さんのコレクション等が数多く展示されている「カフェ・ド・ギィ」店内
店頭で北海道産オーガニック野菜などの食品や雑貨の販売を行うほか、自家焙煎(ばいせん)コーヒー豆専門店スタッフによる「美味(おい)しいコーヒーの入れ方」レッスンや、絵画・アウトドア品・アンティーク品等のオークション販売、アーティストによるライブなどさまざまな催しを企画する。
主催者の一人で、会場となる「カフェ・ド・ギィ」店主の山下純弘さんはブリキ玩具の専門家でもあり、フランス人画家レイモンド・サヴィニャックのポスター原画の世界的コレクター。日本に純喫茶やコーヒー専門店が出始めた1972(昭和47)年、料理の修業で訪れたヨーロッパで職人や芸術家同士が交流するカフェのサロン文化に感銘を受けて同店を開いた。
「フランスには当時から有名なカフェがあり、私も小さくても良いから同じようなカフェをやりたいと思っていた。好きなシャンソンの『ラ・ポエム』という曲の一節にある『恋人たちやアーティストたちが集まって、一杯のコーヒーで夢を語る』ようなカフェにしたかった」と山下さん。一方で、修業時代に出合ったアンティークのブリキ玩具コレクションへの思いから、ブリキ玩具に関する書籍を3冊出版した。
1991(平成3)年にカフェを畳み、同時にブリキ玩具のアンティーク品を取り扱う「ギィ・アンティークギャラリー」を設立。コレクション展示・販売業へと転身を遂げ、ブリキ玩具の専門家としてテレビ番組にも出演した。その後、日本とパリで目にしたサヴィニャックの商業ポスター作品に一目ぼれし、サヴィニャック作品の原画コレクションをスタート。ブリキ玩具と一緒にギャラリーでの展示を始め、生前のサヴィニャック本人から譲り受けた原画を含め、オリジナルポスターの所蔵は世界一になったという。
サヴィニャックの原画コレクター兼画家として、渋谷Bunkamuraや恵比寿三越での美術展や日本各地で開催されるアートイベントに出展協力・講演を行う中、カフェオープン当時の思いが山下さんの中によみがえってきた。
「カフェのオープン当時、まだ光が丘公園(隣接する練馬区にある公園)はグランド・ハイツという在日米軍の家族が住むエリアで、地域に住む人々とアメリカ人とが文化交流する場としてにぎわっていた。途中で計画が頓挫したが、成増・赤塚地域を今でいう吉祥寺のようにアート発信の場にしていこうという都の動きもあったほど。アート業界の知人や、かつてカフェで演奏を披露してくれた音楽家たちがまだ近隣に住んでおり、改めて文化発信で地域を盛り上げていくことができるのではないかと思った」と山下さん。ギャラリーだった店内を改装して今年5月、「カフェ・ド・ギィ」を再開した。
そうした経緯は知らず、「仕事場の近所におしゃれなカフェがある」と週に何度か通うようになったのが、同イベント主催のもう一人で、フリーランスのアートディレクターとして活動する高橋良輔さん。足しげく通ううちにギャルソンとして店の給仕も務める山下さんと言葉を交わすことも増え、「商店街でマルシェを開くなどして、もっと赤塚地域が盛り上がったら良いのに」といった地域振興の話題に触れた際、山下さんも同じことを考えていたことを知ったという。
「北海道出身で農家の知り合いも多く、今回のマルシェで扱う野菜は私経由で仕入れ、山下さんにはかつて交流のあったアーティストや業界人に声を掛けてもらった」と高橋さん。「文化発信による地域振興をテーマにしているので、年1回ではなくコンスタントにイベントを開いて、お店でのイベントと併せて盛り上げていけたら」と意気込む。
開催時間は、21日=18時~(ライブのみ)、22日・23日=11時~20時ごろ(ライブは18時~)の予定。ライブの入場料は3,000円(1ドリンク制)。予約や問い合わせは電話で受け付ける。席に空きがあれば当日入場可能。
21日13時~は、山下さんによる親子向けのアート講座「大人も子供も赤ちゃんも。五感で体験するアートの世界。」を併催。参加料は、大人1人と子ども(小学生未満)1人で3,000円(軽食付き)など。フェイスブックページで申し込みを受け付ける。