荒川河川敷の特設会場で8月3日、「荒川放水路通水100周年 第65回 いたばし花火大会」が開かれ、大会史上最多となる約1万5000発の花火が荒川上空を彩った。
同日にX(旧ツイッター)でトレンドワード入りした「ピカチュウ花火」
昨年、大会終盤に実施した仕掛け花火「大ナイアガラの滝」からの火の粉による下草の延焼事故が発生。フィナーレを前に大会中止となった教訓から安全対策を一から見直し、開催日の1カ月以上前から警察、消防、花火事業者ら関係者による消火シミュレーションを実施した。当日は消火要員と散水車の台数も増やし、会場の水まきも直前に行うなど入念な防火対策で臨んだ。
「40年近く板橋に住んでいるが、花火大会を見るのは今日が初めて」という、板橋区観光大使を務める歌舞伎俳優・坂東彌十郎(やじゅうろう)さんと、坂本健板橋区長、板橋区観光協会の別府明雄会長、マスコットキャラクターりんりんちゃんによる点火式が19時から行われ、「ワイルドスターマイン」が一斉に打ち上げられ花火大会がスタートした。
全国から集まった花火職人10人による「芸術玉の競演」、アニメ「ポケットモンスター」とコラボした恒例の「ピカチュウ花火」などを織り交ぜ、オープニングからプログラムの要所で打ち上げる尺5寸(15号玉)は昨年より1発増やして5発を打ち上げた。「荒川放水路通水100周年」を祝い、戸田市側・板橋区側の荒川両岸で5分間に大玉100発を打ち上げる特別プログラムを挟んだ後、エンディングでは戸田側と同時に打ち上げる「天空のナイアガラ」ワイルドスターマインを共演。最後は「ナイアガラの滝」で、90分間のプログラムを締めくくった。
板橋区観光協会の職員は「昨年の下草の延焼事故から得た教訓を生かし、草刈りの状況、散水の強化、消火体制の強化などの安全対策を実施した上で、無事に終えることができた」と話す。
「荒川放水路」(現・荒川)は全長約22キロに及ぶ人口河川で、1913(大正2)年に開削(かいさく)を着工。1300世帯の民家や工場、農地、寺社などの移転を経て、大雨による堤防決壊や土砂崩れに見舞われた難工事の末、現・隅田川との分岐点に前年完成した岩淵水門(北区)の旧水門・通称「赤水門」を1924(大正13)年10月12日に開き、放水路全域に通水してから間もなく100周年を迎える。
同大会の模様は現在、J:COMの公式ユーチューブチャンネルなどで当日のライブ映像を視聴できる。