板橋区役所本庁舎(板橋区板橋2)1階の正面玄関で7月5日、石川県金沢市から贈られた「氷室の雪氷(せっぴょう)」が一日限定で公開展示された。
同日に区役所で行われた贈呈式で、金沢・湯涌(ゆわく)温泉観光協会の安藤有(たもつ)会長から「氷室の雪氷」を贈られた坂本健板橋区長は「伝統ある雪氷の贈呈に感謝。金沢らしいおもてなしの心が詰まった行事が江戸時代から現代まで続いているのはとても素晴らしいこと。コロナの影響は一部残っているが、雪氷の贈呈をきっかけに金沢市と板橋区双方の魅力が伝わり、交流がさらに進むことを期待する」とあいさつで述べた。
贈呈は、江戸時代、冬場に積もった積雪を氷室に貯蔵していた加賀藩の藩主が、旧暦6月1日(現在の7月1日頃)に江戸の徳川将軍へ献上していた習わしに由来する。昭和の戦前までは氷室小屋が散在し、飲食物の貯蔵と病人対策に利用していた湯涌温泉が1986(昭和61)年、金沢市の協力を得て氷室を復元。温泉地の観光PRを兼ね、毎年1月の最終日曜に地元住民や金沢市民、観光客らで氷室に雪を入れて固める「氷室の仕込み」を行い、6月末に「氷室開き」をして石川県知事や金沢市長に雪氷を届ける江戸期の伝統行事を再現したのに端を発し、2001(平成13)年7月、加賀藩前田家の下屋敷があった板橋区へ雪氷が初めて贈られ、2010(平成22)年からは毎年行われる両地域の恒例イベントとなった。
板橋区と金沢市の交流自体は、1979(昭和54)年開催の「板橋区民まつり」に豊年太鼓とミス百万石が参加したのを皮切りに、「氷室の雪氷」贈呈を含む長年の交流を経て、2008(平成20)年7月、両都市間で友好交流都市協定を締結。2018(平成30)年には、板橋区役所と板橋宿不動通り商店街で友好交流都市協定10周年の記念イベントなどを行っている。