ときわ台・天祖神社(板橋区南常盤台2)が4月3日、「小林保男名誉宮司を偲ぶ会」開催に合わせてモニュメントを正式公開。隣接する「杜のまちや」では現在、関連イベントとして記録映像の上映会「映像は語る。板橋人(いたばしびと) 小林保男」を行っている。
鏡面の上に描かれた板橋の原風景に、境内地の景色が映り込む記念モニュメント
小林保男さんは1938(昭和13)年、鎌倉時代創建とされる歴史ある神社の宮司の子として生まれ育ち、國學院大學文学部史学科を卒業後、小学校と中学校の教員を経て板橋区の常勤職員に転身。文化財行政や「板橋区史」編さん事業の調査会運営にも携わるなどした後、天祖神社の神職を手伝うために区職員を退職するも並行して非常勤の文化財専門員となった。宮司を継いだ後も文化財保存や地域振興活動にも従事し、多忙から文化財専門員を退いた後も「板橋人」を自称し、区の広報誌「広報いたばし」のコラム「写真は語る」や板橋区町会連合会の会報「いたばし町連」などで精力的に執筆活動を行ってきたことで知られる。2006(平成18年)に民間交番「森の番所」を、2016(平成28)年に地域に開かれた交流スペースとして「杜のまちや」を神社の隣接地に開設するなど街づくり事業も手掛け、2018(平成30)年に同神社の宮司を長女の美香さんに引き継ぐと名誉宮司に就任。板橋区の文化団体連合会長や文化財保護審議会長、郷土芸能団体連合会長、「板橋史談会」会長などの要職を務めていた。2020年末に体調を崩し、昨年2月から病気療養に専念するなどしていたが、2021年8月5日に他界した。享年82歳。
小雨の降る中で行われた「偲ぶ会」には、板橋区長ら区政関係者や公共施設の関係者など100人以上が参列。小林さんをしのび、「ひぐらしの杜」と名付けた神社境内の「富士山遥拝所」付近の一角に設置した、板橋区在住の現代美術作家・船井美佐さんが手がけた記念モニュメントの除幕式とテープカットが行われ、最後は「西洋流火術鉄砲隊」による火縄銃の空砲で追悼した。
「偲ぶ会」と境内社務所、関連イベント会場の「杜のまちや」では、記念冊子「板橋人 小林保男 写真は語る」を無料配布。同冊子には、小林さんとゆかりの深い大学名誉教授や郷土史家、板橋区教育委員会や文化行政関係者、地域の町会関係者ら24人による故人をしのぶ写真にちなんだエピソードなどが寄せられた他、小林さんが生前執筆した連載コラム「いたばし歴史散歩」の一部や論考、幼少期の体験談、地域の原風景を綴った回想記などを収録。小林さんが編集・執筆に携わり板橋区教育委員会が1994(平成6)年に刊行した書籍「写真は語る 総集編」をオマージュした判型・本文レイアウトでデザインし、小林さんの「板橋人」としての姿が垣間見える内容となっている。小林美香宮司によると、同冊子はイベント終了後も社務所で無料配布するという(無くなり次第終了)。
「杜のまちや」では4月9日まで、小林さんが精力的に行ってきた地域活動の様子を記録した映像を上映する。開場時間は12時~16時。入場無料。
ときわ台・天祖神社社務所の受付時間は9時~16時。