東武東上線・ときわ台駅前ロータリーで5月14日、宮本警部追悼10年コンサート「その勇気を忘れないで」が開かれ、常盤台交番(板橋区常盤台1)前に設置されている記念碑「誠の碑」への献花・黙とうの後に演奏会が行われた。
常盤台交番前に設置された「誠の碑」に献花する常盤台1・2丁目町会・岩崎会長
2007年2月6日、板橋区常盤台の東武東上線・ときわ台駅踏切内に自殺企図で侵入した女性を助けようとして、同駅に隣接する常盤台駅交番で勤務中だった宮本邦彦警部(事故当時は巡査部長、事故後に2階級特進)が急行電車にはねられた。女性は一命を取りとめたが、宮本警部は意識不明の重体となり、同月12日に殉職。翌3月に政府から正七位 旭日双光章(きょくじつそうこうしょう)、都から東京都知事顕彰が授与された。青山葬儀場(港区)で公葬が執り行われたほか、警察博物館で開かれた特別展には2万人以上が来館し、日比谷公園小音楽堂で開かれた追悼コンサートには約1800人が訪れ、翌年には民放テレビ局によるドラマも製作・放映されるなど、当時、社会的に注目を集めた。
地元町会が中心となり、2007年3月に駅前ロータリーで「常盤台ロータリーコンサート」を開き、同年6月には町会関係者と全国からの寄付金で宮本警部の功績をたたえる記念碑「誠の碑」を常盤台交番前に設置。「ロータリーコンサート」はその後、地元の常盤台1・2丁目町会や常盤台駅前商店街振興組合によって現在も年3~4回行われている。
今回の追悼コンサートでは、ときわ台駅最寄りの区立上板橋第一中学校吹奏楽部や常盤台小学校マーチングバンド、同区前野町に本社を構える株式会社タニタ社員で編成された「タニタ軽音楽部」による演奏のほか、ジャズバンド「西やんZIZIセッション」、打楽器アンサンブルグループ「クインテットーン」が会場を盛り上げ、オカリナデュオ「うらら」が民放製作ドラマの挿入歌にもなった追悼曲「その勇気を忘れないで」を配られた歌詞カードを手にした来場者と合唱・演奏した。
同町会の会長・岩崎忠雄さんや事務方の木村好胡さんによれば、「町会の防犯パトロールにも協力いただいて、宮本さんと一緒に町内を回ったこともあった。小学生からも『宮本さん』と名前で呼ばれるくらい、地域で親しまれていた交流熱心な方で、事故当時も多くの方が折り鶴を交番に持参したり回復祈願の記帳に訪れたりした」と振り返る。今回の追悼コンサート冒頭のあいさつで、岩崎さんは「今後も宮本さんの功績を風化させないように、まちづくりに取り組んでいきたい」と力強く語った。
東武東上線・ときわ台駅は2017年度中に駅舎のリニューアル工事が予定されており、立体化による踏切の撤廃なども視野に、自治体側と検討・協議が進められているという。