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板橋・志村坂上で「クランプスパレード」 地元商店街に悲鳴と笑顔

クランプスの本国オーストリアから木彫りの仮面や衣装を買い付けたという

クランプスの本国オーストリアから木彫りの仮面や衣装を買い付けたという

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 都営三田線志村坂上駅(板橋区志村1)近くの志村銀座商店街「しむらん通り」で12月4日、「クランプスパレード」が開かれた。

天使も「メリークランプス」とチロルチョコレートを配って回り、パレードに華を添えた

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 ヨーロッパ中部の民間伝承に登場し、サンタクロースの起源といわれる聖ニコラウスに随行して悪い心を持った人を正すという架空の生物「クランプス」が主役となり、商店街を練り歩く同イベントは昨年に続いて2回目。商店街はクランプスにおびえる子どもの悲鳴や笑い声に包まれ、パレードするクランプスや天使と記念撮影する来場者でにぎわった。

 同イベントを企画した印刷会社「宏友舎(こうゆうしゃ)」(板橋区小豆沢1)社長・吉田宏さんによると、ヨーロッパでは毎年12月5日がクリスマスイブに当たり、オーストリアのチロル州やドイツ東南部等の一部地域では、人々が1年間に犯した罪を改め純粋な心を取り戻して新年の豊かな実りや幸せを祈願する「クランプスナハト(クランプスの夜)」という伝統行事が1600年以上前から行われているという。

 吉田さんは2015年、テレビ番組で紹介されたクランプスの歴史や文化に興味を持ち、オーストリア大使館を通じて現地の民俗学者と観光手配を行う日本法人を紹介してもらうと、オーストリアに渡って祭事に携わる人たちに直接指導を依頼した。「昨年は4日の短い滞在で学んで仮面や衣装を買い付けたものの、現地の人からはクランプスが日本で受け入れられないのではと心配された。でも、昨年の日本初のパレード開催を報告すると『よくやった!』と喜んでくれ、今年も集中合宿をしにチロルを訪れると大歓迎された」という。

 「昨年はクランプスって何?という方が大半で、日本のなまはげのように子どもを脅かす行事と勘違いされることも多いが、本来は悪い大人を懲らしめて子どもたちの見せしめにするというもの。昨年はわれわれも来場者も手探り状態だったが、終わってみれば地域住民や商店街からまた来年も開催してほしいとの声をもらえたことで自信につながった」と吉田さん。「夏はサンバ・冬はクランプスといわれるよう、当面は地元の活性化に尽力していき、ゆくゆくはクランプスを全国に広めて文化交流や青少年育成にもつなげていければ」と将来を見据える。

 今回はオーストリア大使館に働き掛け、「オーストリア物産展」を商店街沿いで併催。昼過ぎと夕暮れ2回行われたパレードの前後に、来場者は思い思いにオーストリアの地ビールやフランクフルト、ウィーンのパージー社製スノードーム製作体験なども楽しんだ。

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