広告企画

【日大板橋病院専門医からの健康情報】厳しい残暑に油断は禁物! 熱中症リスクと予防法

早期発見が命を守る鍵

提供:日本大学医学部附属板橋病院 制作:板橋経済新聞編集部

  • 28

  •  

 日本大学医学部附属板橋病院の医療専門家が、地域の皆さまに役立つ健康情報を発信。健康的な生活をサポートすることで、地域全体の健康状態の向上を図ることを目的としています。

 今回は「熱中症」をテーマに、日本大学医学部 救急医学系 救急集中治療医学分野 山口順子先生にお話をしていただきました。

「逃げ場」のない熱中症

 記録的猛暑が続き熱中症になる人は、2019年ごろより増加しています。東京23区で7月、熱中症の疑いで死亡した人は123人に上り、都内では救急搬送された人が昨年より500人以上増加しているため、東京消防庁は対策の徹底を呼びかけています。

 熱中症といえば、野外での活動中に発症するイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、都内の実情を見ると、救急搬送される熱中症患者の約6割が室内で発症していることが分かっています。その大半は高齢者です。理由として体の水分量が少ないことや、暑さやのどの渇きなどを感じにくいことなどがあります。一方、子どもたちもまた汗を出す汗腺が未発達で、体に熱がこもりやすい特徴があることや、大人と比較して身長が低く、アスファルトなどから受ける放射熱の影響を強く受けやすいため熱中症になる危険が高まります。

 また、肥満がある場合、脂肪によって熱が放散されにくい状態があります。さらに、胃腸炎などで脱水状態にある人、心臓や腎臓に持病のある人、まひなど体を動かすことに障害のある人々では、元来の体の水分バランスの調整が難しいことや、利尿を促す薬や脈拍を調整するような治療薬の影響で、暑熱環境で体本来の熱を逃がす働きが難しくなることがありますので、熱中症になりやすいです。精神的な疾患の治療薬などでも暑熱環境で体の熱を効果的に逃がすことができません。元来持病がない人であっても、睡眠不足が続いている人も同じく体温調整が難しくなることで暑さに影響を受けやすくなります。

 このように、発生場所も野外にとどまらず、また子どもや高齢者、持病のある人のみならず、元来健康な人でも、体調や環境次第で熱中症になり得ることから、最近の熱中症は、もはや逃げ場のない状況であり、これまでの熱中症のイメージとは異なります。熱中症は命を落とす危険な病態であり、十分な注意を払うことが必要です。

エアコン未使用が命取りに—室内での熱中症リスクに注意を

 室内で死亡するケースでは、エアコンの未使用が多くを占めます。適切なエアコンの使用(室温が26~28度程度)が必要です。慣れると暑さを感じにくいことがあるため、室温計など環境を客観的に確認できるようにすることが望ましいです。衣服は袖や首回りが開き、熱を逃がしやすい服装が望ましく、野外では日傘や帽子をかぶり直射日光を避けることが必要です。

 環境省や気象庁では、熱中症の危険性が高まる際に「熱中症警戒アラート」を発表しています。テレビやスマートフォンのアプリを活用して、このアラートを確認し、危険が高い日は不要不急の外出を控えることも検討する必要があります。

 日常的に睡眠を十分に取り、体調を整えておくことが熱中症予防の基本です。しかし、どうしても野外で活動する必要がある場合は、活動時間を決め、体が疲れたと感じる前にこまめに休憩を取るようにしましょう。もし不調を感じた場合には作業を中断し、涼しい環境へ移動し安静にすることが必要です。

 また、脱水があると熱中症にかかりやすくなるため、日頃から水分をこまめに取る必要があります。水よりも、塩分を含んだスポーツドリンクや経口補水液の型が、体液のバランスを速やかに改善させることができます。

熱中症を疑ったら--早期発見が命を守る鍵。暑熱環境での体調不良、見逃さないで

 熱中症とは、暑熱環境にさらされることによって引き起こされるさまざまな症状の総称です。そのため、暑さの中で体調が悪くなった場合、全て熱中症の可能性があると考えましょう。何となく数秒ふらっとする、めまい感、足がつる感じのような一見軽そうな症状であっても、油断は禁物です。これらの軽い症状が、意識がなくなり命の危険が生じる重症の状態に急速に進行することがあります。中には、軽症の状態を感じることなく、意識を失うケースもあります。高齢者や子どもは、症状に気づきにくかったり、自分で訴えることが難しかったりするため、周りの方々の見守りが必要です。

 熱中症が疑われる際、どのような症状が現れたら注意すべきか、そしてどのように対応すべきかについては、ウェザーニュース社が提供する「熱中症チェックシート」を利用いただくことができます。このアプリケーションは、私が医学的な監修をしており、誰でも簡単に熱中症リスクを確認できるツールです。詳細は、こちらのリンク(熱中症チェックシート)からご覧いただけます。

 また、ユーチューブアーカイブでは熱中症に関する動画解説も行っており、視覚的に分かりやすく対策を学ぶことができます。ぜひ参照いただき、日頃から熱中症予防に役立ててください。

日本大学医学部 救急医学系 救急集中治療医学分野 山口順子

(引用)1)Yamaguchi J, Kinoshita K, Takeyama M. An Easy-to-Use Prehospital Indicator to Determine the Severity of Suspected Heat-Related Illness: An Observational Study in the Tokyo Metropolitan Area. Diagnostics (Basel). 2023 Aug 15;13(16):2683. doi: 10.3390/diagnostics13162683. PMID: 37627942; PMCID: PMC10452966.

2)「熱中症チェックシート」https://weathernews.jp/heatstroke/check_sheet.html?fm=news

3)You tube アーカイブウェザーニュース 熱中症予防ウィーク 現役医師が教える熱中症対策
https://www.youtube.com/watch?v=8icxQ6nogts

※画像提供元:iStock

地域の健康を守る!「日大健康広報プロジェクト」

このプロジェクトは、大学病院の医療専門家が地域の皆さまに役立つ健康情報を発信し、健康的な生活をサポートすることで、地域全体の健康状態の向上を図ることを目的としています。

  • はてなブックマークに追加

ピックアップ

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース