
板橋区と伊ボローニャ市との友好都市交流協定20周年を記念して、7月7日、赤塚小学校(板橋区赤塚3)でイタリア語での読み聞かせの授業が行われた。
「滝のように落ちてきた」の表現を説明するミケーレ・フォッラさん(左)
授業は「友情の本プロジェクト」の一環で、プロジェクトに関わる区立美術館や区立中央図書館(いたばしボローニャ絵本館)との関連行事として行った。
講師は、ジョルジア・アッジョ(Giorgia Aggio)さんとミケーレ・フォッラ(Michele Folla)さんによるアーティストユニット「ミラビリア」。2人は、触って楽しむ絵本やおもちゃを手がける。ただ「目で見る」絵本ではなく、音や触り心地、匂いなど「五感をフルに使って楽しむ絵本」が特徴。例えば、草を描く時、草そのものを描くのではなく、草の感触に近いじゅうたんを使って草の象徴を表現する。木はチュールを使い、中に枝をちりばめたり、鳥の卵は命の温かさを表現するために綿を使ったりするなど、あえて象徴的なものを描くことで、読み手の想像力をかき立てる工夫を施す。絵本は一冊一冊手作りにこだわっている。素材がないときは、代わりになるものを探す。そのため同じものがなく、どれも世界でたった一つの作品になるという。
児童たちは立体的な触れる絵本を手に取り、感触を楽しんだ。中には、目を閉じて、最初に触った時の感じ方との違いを比べる姿もあった。手のひらに広がる絵本の世界にそっと触れながら、「これは葉っぱかな?」「これ気持ちいい」などと口々に感想を話していた。
活動は「目の見えない人も含め、全ての人が楽しめる絵本を作りたい」というミラビリアさんの思いから始まった。点字の絵本や教科書はあっても、匂いや手触りで物語を感じられる本はまだ少なく、日本の紙芝居も参考になったという。ミケーレさんは「紙芝居が生まれた国、日本で、こんなにもたくさんの子どもたちの前でお話しするのは初めて。緊張するが、うれしい」と話した。
児童からの質問タイムでは、日本とイタリアの絵本の違いや共通点、イタリアの果物などイタリアの文化に興味津々の様子がうかがえた。
当日は、図書室や廊下など校内の至る所に、イタリアに関するクイズやポスター、国旗も貼り出された。