成増アクトホール(板橋区成増3)1月18日、説経節の三代目若松若太夫(わかまつわかたゆう)さんと横瀬人形芝居保存会による「説経浄瑠璃鑑賞会」が開かれる。
二代目若松若太夫のころから現在まで30年間続く、新春恒例の伝統芸能イベントの同会。二代目が亡くなった翌年の2000(平成12)年以降、三代目がイベントを継いで東京都指定無形文化財(芸能)と板橋区登録無形文化財「説経浄瑠璃」保持者として、つながりのある伝統芸能ゆかりのゲストを招き行っている。
今回、若太夫さんが説経節「石童丸(いしどうまる) 山巡りから札書きまで」を独演した後、埼玉県秩父郡の横瀬人形芝居保存会が「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」(以下、日高川)を上演する。「日高川」は昨年の説経浄瑠璃鑑賞会で舞踊家・坂東冨起子さんと若太夫さんの共演で披露した「清姫怨霊(きよひめおんりょう)の段」を、同保存会が若松派説経師と、「ふくさ人形」と呼ばれる人形を使った芝居で披露する。
「横瀬人形芝居」は江戸時代後期、安政年間に活躍した説経師・三代目薩摩若太夫の弟子で、横瀬村初代村長も務めた若松佐登太夫(さとだゆう)が創設した、現在も秩父で文化が伝承されている人形芝居。1977(昭和52)年に埼玉県の無形民俗文化財に指定された。
明治・大正期に嘉納治五郎や渋沢栄一らの支援を受けて説経節を盛り立てた初代若松若太夫は、太平洋戦争末期に生まれ故郷の現・埼玉県熊谷市に戻った際に横瀬人形芝居と交流があり、初代の巡業で埼玉県内を回っていた二代目とも交流があったという。
若太夫さんは「説経節に合わせて人形を使うのと、横瀬人形芝居の目玉となっている回り舞台を使った場面展開があり、小さなお子さん連れでも親子で楽しめると思う。昨年の鑑賞会にもいらした方であれば、坂東冨起子さんと共演した時とは異なる芸能で安珍と清姫の物語を楽しんでもらえたら」と話す。
13時開場、13時30分開演。定員は先着450人。入場無料。