「めぐるでんき」(板橋区板橋3)が現在、電力版地域応援プラットホーム「めぐるスイッチ」のプロジェクトへの参加者を呼び掛けている。
「めぐるスイッチ」は、東京・城北地区で法人・個人向けに電力供給を行う「めぐるでんき」サービスの一つ。電力契約を同社に切り替えることで電気代が削減できるだけでなく、電気代の一部を地域課題の解決や活性化に取り組むプロジェクトの支援に充当する。同社が4月1日から行う、一般家庭向け低圧電力の小売り開始に合わせて運用を始める。
今回、板橋区・豊島区・北区・練馬区で、ジャンルを問わず地域の課題解決や地域活性化を目的とするプロジェクト(2人以上で構成するチーム・団体)を募集する。
採択されたプロジェクトへの還元は「めぐるでんき」の一般家庭向け低圧電力供給1契約につき月額100円の電気代などを原資に行う。2019年4月オープン予定の「めぐるスイッチ」の特設ウェブサイトに各プロジェクト実施者が取り組む地域活動に関する情報を掲載・発信し、めぐるでんきからの電気供給契約者はその中から契約時と年次更新時に応援するプロジェクトと一つ選択することになっているほか、契約していない一般ユーザーも1日1回「おっけー」ボタンを押してプロジェクトを応援することができる。プロジェクトごとの還元額は、電力契約者による選択数や「おっけー」ボタンが押された数で決定する仕組みだという。初年度は年2回、9月と2020年3月に還元を行う。
応募締め切り後、2月下旬に社外4人の識者で構成する審査委員会によるプロジェクト審査を経て、採択されたプロジェクト実施者による説明会を3月10日に行う。プロジェクト採択者は、3月10日の「採択者説明会」参加が必要となる。
めぐるでんき設立は2017年8月。都内初の「地域新電力」会社として創業し、同年10月には「再生可能エネルギーを中心とした電力の地産地消および地域コミュニティ電力事業」が「板橋区スマートシティ推進プロジェクト」第1号の認定を受けた。立ち上げ当初からオフィスの一部をイベント・ギャラリースペース「クリエーションスペースen∞juku(エンジュク)」とシェアし、障がい者福祉やソーシャルデザインに取り組む地域団体を支援するなど「地域の未来をつくる活動」にも注力している。
2018年4月から湘南電力(神奈川県小田原市)の取次店として、法人企業向けの高圧電気供給を開始。「養老乃滝」本社(東京都豊島区)をはじめ、屋根材や雨どいなどの金属外装メーカー「タニタハウジングウェア」(板橋区東坂下2)、東京都と板橋区と凸版印刷の共同出資で設立した特例子会社「東京都プリプレス・トッパン」(板橋区小豆沢1)などが既に「めぐるでんき」を通じて電力供給を受けている。2019年4月からは、一般家庭向け低圧電力の小売り開始を、秋ごろには商店向けの電力供給も予定している。
「めぐるでんき」社長で九州大学客員教授の渡部健さんは「大きな額を短期間に獲得することもできる一般的なクラウドファンディングと異なり、初年度は数百円~数千円規模のマイクロファンディングになる見通し。地域の電力供給と共に、『めぐるスイッチ』による少額支援を継続しながら、地域活動やソーシャルデザイン・プロジェクトの情報発信の場として機能させたい。エネルギー事業を通じて地域の企業や人々と連携して、街に今以上の活力を与えるサポートを続けていきたい」と説明する。
多摩市を拠点に周辺地域のエネルギー推進事業を手掛ける「たまエンパワー」(東京都多摩市)社長で、「めぐるでんき」取締役も務める山川勇一郎さんは、「おそらく日本初の取り組みで、フォーマットがない中で試行錯誤しながら、より良い活動支援のスタイルを形作っていきたい。ビジネスコンテストや自治体の助成金制度とも異なる、新しい地域支援のモデルケースになれば」と期待を寄せる。
「めぐるスイッチ」に関する問い合わせや、申請書類の応募はメールでのみ受け付ける。詳しくはウェブサイト掲載の募集要項で確認できる。応募締め切りは2月22日23時59分。