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板橋火薬製造所跡が国指定史跡に 史跡公園整備計画も始動へ

現在、土壌汚染対策工事や遺構の移設工事準備が進められている板橋火薬製造所跡

現在、土壌汚染対策工事や遺構の移設工事準備が進められている板橋火薬製造所跡

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 陸軍板橋火薬製造所跡(板橋区加賀1)が10月13日、国指定史跡に認定された。

区長会見でも披露された「板橋区史跡公園(仮称)」基本構想イメージ図

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 いたばし観光センター職員によると、同史跡がある場所は江戸時代には中山道板橋宿・平尾宿に接して加賀藩下屋敷が置かれ、1853(嘉永6)年にペリーが浦賀に来航したことを契機に西洋式の大砲製造が行われていた記録もあり、明治時代以降は旧陸軍の造兵廠(ぞうへいしょう)が形成され、戦後には理化学研究所や野口研究所が開設されたことから、近代化・産業遺産としての史跡や遺構が今も数多く残っている。

 板橋区は、加賀1丁目周辺地帯約1.2ヘクタールを、近代化・産業遺産を保存・活用した「史跡公園」として整備する計画を8月の定例議会と9月の区長記者会見で発表していた。

 史跡公園整備予定地は、加賀藩下屋敷築山遺構と石川県金沢市との交流の歩みを伝える「現・加賀公園エリア」、弾道管・燃焼実験室・発射場など火薬の近代的製造と研究を行っていた「旧・火薬製造所エリア」、物理試験質・爆薬理化学試験質などがあった「旧・理化学研究所エリア」、以上3エリアを結ぶ石神井川・金沢橋・桜並木などの「石神井川エリア」の4エリアで構成する基本構想が提案されている。

 板橋区では、本年度末までに基本計画の策定、来年度以降に史跡保存整備利活用計画を策定した後、企画公募を視野に設計作業を進め、2021年度に公園整備着工、2024年度のグランドオープンを目指す方針という。東京オリンピック・パラリンピック開催の2020年夏頃には、一部施設を先行して一般公開する考えもあるという。

 坂本健区長は「完成すれば史跡公園は都内初となる。これまでも加賀公園は絶好の花見スポットとして区民に愛されてきたが、産業界、商業界、観光や文化団体などの力を結集した、魅力ある板橋区の新たなシンボルとしたい」と期待を寄せる。

 陸軍板橋火薬研究所跡と加賀公園に隣接する区立板橋第五中学校の太田繁伸校長は「国の史跡指定を受けたことは喜ばしい。本校も日露戦争後に旧陸軍の砲兵工科学校分校として設置され、終戦前に一造(いちぞう)板橋宿舎だった歴史がある。今後、史跡公園施設として生まれ変わっていく過程を追いながら、道一本を挟んだ場所にある教育の場として、郷土の歴史や戦争について生徒たちが率先して学び考えていく取り組みにもつなげていきたい」と意欲を見せる。

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