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板橋区立美術館で「発信//板橋//2016」展 江戸をテーマに現代アート作家7人集う

本物の石から型取りしたFRP樹脂にメッキを施して火星と枯山水を融合させた作品

本物の石から型取りしたFRP樹脂にメッキを施して火星と枯山水を融合させた作品

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 板橋区立美術館(板橋区赤塚5)で12月3日、現代アートの企画展「発信//板橋//2016 江戸-現代」が始まった。

12月4日に行われた出品作家7人によるトークイベントの様子

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 同展は2011年から始まった現代アート作品を含む作家展で、選んだテーマに沿ってコミッショナーが作家を集める。3回目となる今回のコミッショナーは、区内在住で東京芸術大学美術学部彫刻科教授でもある彫刻家の深井隆さん。板橋が中山(なかせん)道の1番目の宿場町として栄えたこと、同館が江戸狩野派の作品を収集し江戸文化に焦点を当てた企画を行ってきたことなどからテーマに「江戸」を選び、平面作家3人と立体作家4人の作品展にした。

 平面作家の3人は、「新東都名所シリーズ」の版画や江戸期から現在に至る建造物を取り混ぜて描いた「Tokio山水(東京圖 2012)」を出品した山口晃さん、琳派(りんぱ)の作品をほうふつさせる金箔(きんぱく)を使った「空へ」を出品した区内在住の版画家・清塚紀子さん、同館所蔵の狩野尚信作「富士見西行図屏風(びょうぶ)」に触発され、幼少期の原風景となっている高島平や板橋にある団地を描いた大作や集合住宅をモチーフにした油絵を出品した区内在住の白石顕子さん。

 立体作家は、同館入り口前に置いた石から作品世界が始まっているという、火星と枯れ山水を組み合わせた展示をする川島大幸さん、伝統的な蒔絵(まきえ)とネイルアートを融合させた工芸作品を出品した奥畑実奈さん、木彫彩色の作品と同じテーマで制作した根付けを並べて展示するのは初めてという彫刻家で根付作家でもある人見元基・狛さん。深井さんは、自身がテーマとしている椅子と馬の木彫り作品で独特の世界をつくり出した。

 「江戸時代は絵画や彫刻で新たな様式が確立し、花開いていった。江戸時代や現代美術に限らず、芸術は昔から生活に根差したものだと思う。江戸的な要素を取り入れた現代美術を多くの人に見てもらいたい」と深井さん。「板橋から新しい芸術の動向を伝えたい」とも。

 4日には出品作家7人によるトークイベントが開かれた。作家それぞれがスライドを使って出品作の制作過程やこれまで発表してきた作品について紹介。時々笑いも起こる中、約80人の参加者は興味深く聞き入っていた。終了後、作家の語った見どころを確認するため会場に戻る参加者も多く見られた。

 開館時間は9時30分~17時。月曜、年末年始休館。観覧料は、一般=400円、高校・大学生=200円、小・中学生無料。1月9日まで。

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