板橋区内製造業を中心とした企業が製品や技術をPRするビジネス展示会「いたばし産業見本市」が11月13日~15日の3日間、板橋区立植村記念加賀スポーツセンター(板橋区加賀1)で開催された。
パブリックデーのオープニングイベントでは、区内の中学校出身のオリンピアン江村美咲選手が登壇
今年で29回目を迎えた「ものづくりの板橋」ならではの同イベント。本年度は「いたばしから世界への架け橋となる3DAYS」と題し、世界で活躍する板橋区の代表的な企業の技術や製品を紹介する「ITABASHIQUALITY」の企画展示を行った。医療機器、計測器、特殊素材、消防ポンプなど、多岐にわたる分野において世界で活躍する9社を紹介。展示企業の一つ、サイトウ製作所(蓮沼町)は超硬ドリル・超硬特殊工具の製造・販売を行ういる企業で、世界31カ国に輸出している。蓮沼町の本社工場跡地をフェンシングの練習や試合を行えるような施設にする「多機能共同施設建設プロジェクト」の概要説明のパネルも展示した。
板橋区は江戸時代、中山道の板橋宿や川越街道の上板橋宿が置かれ発展していった地域。さらに荒川や新河岸川の水運にも恵まれたことで、交通と物流の要として発展してきた。1876(明治9)年には加賀に火薬製造工場が設立され、これを起点に光学兵器などの軍需産業が形成されていった。戦後は平和産業へと転換が進み、金属加工、光学、精密機器、印刷関連など、多様な産業が区内で発展。記念展示として、区内で長く操業している企業・団体について産業の歴史を交えながら展示した。
13日・14日は「ビジネスデー」として、区内製造業を中心とした88の企業が製品や技術のPRや商談を行うブースやパネルを展示。15日は「パブリックデー」として、企業ブースを回るスタンプラリーや区内の企業の技術を生かした実験や研究者から学ぶ科学体験など「ものづくりの板橋」ならではの子ども向けワークショップなどを開催した。
「ITABASHIQUALITY」展示企業の一社であるチノーは、ペットボトルとストローでオリジナル温度計を作るワークショップを開催。これまで年1回、高島平図書館(高島平3)で夏休みに子ども向けのワークショップを開いていたが、同イベントへの参加は今回が初めて。東京大学宇宙線研究所のワークショップに参加した親子は、居住する和光市にある理化学研究所一般公開で今回のイベントを知り、さまざまなワークショップがあることと「板橋にある旧理化学研究所も見てみたい」という思いもあって来場したという。
板橋区産業経済部の家田彩子部長は「区内の、ものづくりを支える企業同士が交流できたことが何よりの成果だった。日頃はそれぞれの現場で忙しくしている企業の皆さまが一堂に会して技術を紹介し、刺激を受け合う交流の場になった。新しい連携のきっかけにつながる『出会いの場』として活用していただけて良かった」と振り返る。「区内には素晴らしい技術を持った企業がたくさんあるので、知っていただくことや、交流できるこのようなイベントを来年以降もさらに続けていきたい」と意気込む。