
弥生町北町会・弥生会館(板橋区弥生町)で4月11日に開かれた江戸消防記念会第10区の定式(じょうしき)で、六番組の新会員の「披露目」が行われた。新たに入会したのは吉田成悟(しげさと)さんと栂村(つがむら)昌宏さんの2人で、道具持ちの「梯子(はしご)」の役を務める。
同会は、1718年に誕生した「いろは四十八組」の町火消(まちびけし)の文化や技術を継承するために1939(昭和14)年に結成。第10区は現在、北区・板橋区・練馬区が所属している。板橋区にあるのは、板橋~仲町の「一番組(休会)」、西台~志村の「五番組」、弥生町~上板橋・向原の「六番組」。
町火消は高所での作業を得意とする「とび」が担ってきた歴史があり、とび以外の加入が認められなかった時代もあったが、町のとび職が減少するとともに文化の後継者も減っている。六番組への入会は約10年ぶりとなり、稼業違いというのも初めてのことだという。
同組は、東京消防庁の出初め式、大盃(おおさかずき)の儀、消防殉職者慰霊祭などの年間行事のほか、祭りやイベントで仕事唄である木やりやまとい振りの披露、みこしの担ぎ方指南などの地域活性化の手伝いを行う。六番組の組頭である飯島功さんは「今はとび職に限ってはいないが、祭りの下支えの仕事は地道な作業も多く、安易に入会を促すことはできない。今回入会した2人は実直で前向きな姿勢を感じて声をかけた。まとい振りや木やりなどを覚えて、伝承してもらい、はんてんを絶やすことなく継承してほしい」と期待を込める。
弥生町では町火消を知っている人があまりおらず、はんてんを着ていても「祭りですか?」と聞かれることも多いという。飯島さんの事務所では窓越しにまといやみこしが見られるようにしている。「まずは『何だろう』と思ってもらうところから興味を持ってもらえれば」と期待を込める。