
絵本作家・川端誠さんの「絵本ライブ&講演会~絵本とともに旅をして~」が2月11日、成増アートギャラリー(板橋区成増3)で行われた。主催は板橋区立成増図書館。午前の部は絵本ライブ、午後の部は絵本の制作過程の講演会で、各回40人の募集枠はすぐに埋まった。
川端さんは、1982(昭和57)年に出版されたデビュー作「鳥の島」で「第5回絵本にっぽん賞」を受賞。「落語絵本シリーズ」「お化けシリーズ」など多数のシリーズを刊行しながら、全国の図書館や小学校で、自作の絵本の開き読みをする「絵本ライブ」や制作過程を話す講演会を行っている。
講演会では、レオ・レオーニの絵本との出会いが絵本作家になったきっかけだと話し、「お化けシリーズ」の最新作「お化けの猛暑日」を、川端さんが開き読みしながら、絵本の制作過程や作品に関する思いを話した。「お化けは、人の暮らしや自然のルールを守るために生まれたものであり、お化けシリーズはその思いを軸に作っている」という。
作品は全て、川端さんが実際の大きさに合わせて作ったダミー本を出版社に持ち込み刊行しているという。清書では自作のカーボン紙を利用することや、どんなに小さなことでも実際の道具や背景を調べて描くなど、制作の裏話をユニークに語り、会場を沸かせた。川端さんは「作品は絵本の中にあるだけで、印刷・製本を終えて、本屋や図書館などに並ぶことで絵本になる。人のつながりや関わり合いの中で、たまたま作品を作る側にいる」と話す。
各回終了後にはサイン会を開いた。さいたま市から来た佐々木瑛真(えま)さんは毎日、川端さんの絵本を寝る前に読んでもらっているといい、持参したサイン色紙に「大好きなひょろけを描いてもらった」と笑顔を見せた。
同館では、昨年度のあんびるやすこさんに続いての絵本作家講演会となった。同館館長は「『絵本のまち板橋』として、成増図書館では絵本に関するイベントを継続的に企画・実施していきたい」と話す。