板橋区役所本庁舎(板橋区板橋2)区民イベントスペースとギャラリーモールで9月25日、「アール・ブリュット展 ~創造の可能性を探求する~」が始まる。
板橋区在住の作家3人の作品も展示する(写真は佐野奈津美さん作品)
アール・ブリュットは、フランスの画家ジャン・デュビュッフェが1945年に考案した概念で、フランス語で「芸術」を表すアール(アート=Art)と「磨かれていない」「生(き)のままの」という意味のブリュット(Brut)を組み合わせて「生の芸術」と表されている。
正規の美術教育を受けていない人が独自の発想や手法で制作した絵画や造形作品を指し、アール・ブリュット作家の中には知的または精神などの障がいを持つ作家も多く含まれ、人の普遍的な創造することの可能性や表現の豊かさを伝える芸術分野として国内外で注目を集めている。
同展を企画した社会福祉法人「愛成会」(中野区)スタッフによると、アール・ブリュットの総本山として世界的に名高い「アール・ブリュット・コレクション」(スイス ローザンヌ)で2008~2009年に開かれた「Japon」展が現地で好評を博し、2010~2011年にかけて約12万人の観客を動員したアル・サン・ピエール美術館(フランス パリ)で開かれた「アール・ブリュット ジャポネ」展がきっかけとなり、ヨーロッパで日本のアール・ブリュットに対する認識と関心が一気に高まったという。
愛成会が運営事務局を務めた「アール・ブリュット・フロム・ジャパン」ヨーロッパ巡回展(2012~2013年)では、ロンドン開催時には9万4千人の来場者を記録するなど話題になった。以降、日本各地で巡回展示が行われている。
オリンピック・パラリンピック公認プログラムとなった今回の展示では、ヨーロッパ巡回展にも出品経験のある蒲生卓也さん・澤田真一さん・魲(すずき)万里絵さんを始め、カズ・スズキさん、板橋区在住の相良貴司さん・佐野奈津美さん・庄司浩明さんの計7人による全57点のアール・ブリュット作品が会場に並ぶ。
板橋区文化・国際交流課の土田さんは「昨年は展示協力のみだったが、今回は主催者として愛成会と提携を結んだ。多くの方にアール・ブリュットの世界に触れてもらい、新しい芸術の可能性を見つけてもらえたら」と来場を呼び掛ける。
展示時間は8時30分~17時。入場無料。9月29日まで。