「Mrs. National Universe」に日本代表として出場する福嶋直子さんが12月4日、夫と共に板橋区役所に坂本健区長らを表敬訪問し、大会出場の経緯や現在の活動について報告した。
「Mrs. National Universe」は今年で5回目を迎えるコンテストで、外見ではなく、内面の美しさなどが重視される。今年のスローガンは「The Phenomenal Women」。直子さんは、7月に東京で行われた「ミセスユニバースジャパン」でトップ20に入り、今回の世界大会の出場資格を得た。
直子さんがコンテストに挑戦しようと思ったきっかけは、病床で目にしたミセスユニバースジャパンの広告だったという。国際線の客室乗務員として働いていた直子さんは、2人目の出産に伴う育児休業とコロナ禍による休職が重なった2022年、脳梗塞で倒れた。出産後から体調不良が続いていたものの、突然の発症だった。一命を取りとめた入院中、「やり残したことリスト」を書く中で目に留まった広告を見て、「いつか私も、こんな風にかっこよく歩けるようになりたいと思った」と振り返る。
翌年には心臓の手術も受け、家事や育児が思うようにできない状態が長く続いた。その期間、直子さんを支えたのが夫の正博さんだった。仕事が忙しく、結婚当初は家事・育児への関与が限定的だったが、2人目の出産時には育児休業を取得し、直子さんの急な入院時には家事・育児を担った。コンテストへの挑戦も後押しし、練習や活動を支え続けている。「自分を支えてくれた夫にこそスポットライトが当たってほしい」という直子さんの思いから、日本大会では内緒で、妻を支えた功績をたたえる「Best Supportive Husband」に正博さんを推薦。正博さんは同賞を受賞し、「Best Mother Leader」を受賞した直子さんと共に登壇した。
病気や産後の不調を経験した直子さんが強く実感したのは、「健康な心と体さえあれば、人生はいつからでもやり直せる」ということ。「産後のお母さんたちをケアすることで笑顔が増え、社会全体も明るくなるのでは」との思いから、現在は自身の回復にも役立ったバランスボールのインストラクターとして、区内の児童館でレッスンを行うなどの活動を行っている。
「女性だから、母だから、妻だからと諦めないでほしい。私だからできたわけではなく、諦めなかった結果、今ここにいる。日本大会で伝えきれなかった思いを世界大会で伝えたい」と意気込みを見せた。大会で着用する衣装やヘアメークは、板橋で縁のあった知人らの協力で準備されたもの。「さまざまな縁がつながったおかげで、日本の良さを表現したすてきな装いが用意できた。一人ではなく、関わってくれた人たちと一緒に『チーム板橋』として世界大会に臨む気持ち」とも。
坂本区長は2人の話に耳を傾け、「ライフステージごとに積み重ねてきた経験が、次につながっている。家庭を持ちながらさまざまなことに挑戦し、キャリアを築いている姿がすばらしく、多くの人に希望を与える存在。ぜひ世界一を目指して頑張ってほしい」と激励した。
世界大会は12月7日~11日、タイのホアヒンで開催される。