
東京都が運営する職業訓練校の中央・城北職業能力開発センター板橋校(板橋区舟渡2)で7月2日、板橋区内の企業経営者や若手社員らを招き、「仕事の苦労や楽しさ」「やりがい」「共に働く仲間に求める姿勢」などをテーマにした座談会が開催された。
同座談会は、東京商工会議所板橋支部と同校が2021年11月に締結した連携協定に基づく取り組みで、今回が7回目。企業の第一線で働く人たちの生の声を直接聞く機会として、訓練生約40人が参加した。
登壇したのは、注文家具製造を手がける八槻木工所(徳丸1)社長の鈴木雄一さんと社員の掛尾翼さん、高橋理沙さん、廣川翔さん。社員3人はいずれも、板橋区の若手技能者を表彰する「板橋FINE WORKER(ファインワーカー)」(東京商工会議所板橋支部主催)に選ばれている。
鈴木さんは「ものづくりの現場は減少傾向にあるが、お客さまの困り事を形にできるこの仕事は、本当にやりがいのある仕事」と語りかけた。社員3人も、いずれも他業種での社会人経験を経て、「やはりものづくりがしたい」との思いから職業訓練校に入校し、現在の道へ進んだという。職業を選び直し、技術を身につけてきたリアルな経験談に、訓練生たちは熱心に耳を傾けた。
座談会の終盤では、登壇者が後輩たちへメッセージを贈った。鈴木さんは「入社して間もないうちは分からないことだらけで戸惑うと思うが、まずは挑戦する姿勢が大事。分からないことを素直に聞けることも、成長の鍵になる」と話した。
現場で活躍する3人からは共通して、「ものづくりの仕事は最初からうまくいくことばかりではない。けれど、続けていくことで技術が身につき、やりがいや楽しさが少しずつ見えてくる。無理をせず、自分のペースを大切に。苦しいときには立ち止まってもいい。大切なのは、諦めずに向き合い続けること」と話し、力強く温かいエールを送った。
同支部と同センターでは、「訓練生が幅広い業種や価値観に触れる機会を持ち、視野を広げながら社会人としての意識を養うこと」を目的に、今後もこうした座談会を継続的に開いていく予定。