
大東文化大学(板橋区高島平1)社会学部・准教授の飯塚(めしつか)裕介さんとゼミ生による産学連携プロジェクト「高信平ゆめのまち」の成果発表が3月19日、同校・多目的ホールで行われた。
当日は、中野紀和(きわ)副学長をはじめ、プロジェクト参画団体からUR都市機構、トヨタモビリティ東京、ベナ、板橋区から高島平まちづくり推進課の担当者が出席した。司会進行はURリンケージの社員が務めた。
同プロジェクトは、高島平団地(高島平2)内で過去に何らかの機能を持っているものの、長期間使われなくなった「未利用地」と呼ばれる3カ所の敷地(以下、A~C地点)を、今の時代に合う利活用方法を同大生が考案するもの。2022年3月には、UR都市機構と板橋区が「高島平地域のまちづくりに関する協定」を締結している。
説明時のスライドでは高島平団地が建設された昭和40年代の写真も多く上映され、団地内で行われた相撲大会の写真が映し出されると、参加者からは驚きの声が上がった。その後、同ゼミ生が6回にわたって行ったワークショップの歩みを説明し、A地点をチャージセンター、B地点をお困りごとセンター、C地点を孫の手センターとして活用する案を発表した。
発表を終え、「無事に終わったという達成感がある」と話すのは、プロジェクトリーダーの豊田真都(まひろ)さん。企業担当者を相手にプロジェクトを進めたことについては、「就職活動の最中で、自分が企業に就職した時の姿を思い描く機会となった。恐れずに自分の意見を伝える経験を通じて、素直さが大切だということに気づいた」と振り返った。
講評した中野副学長は「ペルソナの設定で、シングル家庭の父親の画像があったことに驚いた。今までは母親が子どもを抱く画像が一般的だった。ダイバーシティーを前提とする感性が当たり前となっていて感心した」と話す。
約1年間、同プロジェクトに伴走した飯塚さんは「具体的なサービスや空間の提案まで行うことができ、期待以上の頑張りを見せてくれた」とゼミ生をたたえる。企業とのやり取りについては、「メールの送信一つを取っても、この文面でいいのかなどの相談があった。こうした細かなやり取りの積み重ねは、主体性が求められるこれからの社会人としての財産になるのでは」とも。