板橋区立美術館(板橋区赤塚5)で4月8日から、館蔵品展「絵画は告発する」が始まった。
同館は開館以来、池袋モンパルナスかいわいに集まった画家や板橋に暮らす画家の作品を収集してきたが、今回は所蔵のコレクションに加えて、近年寄贈、寄託された井上長三郎、山下菊二の作品を中心に、戦前・戦中・戦後の日本の社会をテーマにした作品を紹介する。
1920年代~30年代に最盛期を迎えたプロレタリア運動が美術界にも広まり、労働者や指導者の姿を描いた作品が発表され、さらにこの運動を目の当たりにした画家たちが戦争や時代の雰囲気をくみ取った絵画を発表する。戦時中は画材や表現に制限がある中でも画家たちは作品を発表していった。
戦後、海外の美術作品が次々と紹介され、自由な表現や発表の場が誕生するなど目まぐるしく展開する日本の美術界では「ルポルタージュ絵画」として同時代の日本の姿が描き出され、基地闘争などの社会問題を取り上げた作品が発表されるようになり、絵画を通じて事件の核心に迫ろうとする動きもあったという。
同展では、そのような時代と対峙(たいじ)した画家たちによる告発を読み解く試みとして、社会や事件をテーマにした力強く訴えかける作品を選び、展示する。
併せて、「板橋の日本画」と題し、同館が所蔵する平山郁夫・佐藤太清をはじめとする日本画家の作品も展示する。
会期中には、申し込み不要の記念講演会や、担当学芸員によるギャラリートークなどを予定している。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館。観覧無料。6月18日まで。