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【日大板橋病院からの健康情報】体と心の健康のために理想的な睡眠時間は?

理想的な睡眠時間は?

提供:日本大学医学部附属板橋病院 制作:板橋経済新聞編集部

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 日本大学医学部附属板橋病院の医療専門家が、地域の皆さまに役立つ健康情報を発信。健康的な生活をサポートすることで、地域全体の健康状態の向上を図ることを目的としています。

 今回は「睡眠」をテーマに、日本精神神経学会精神科専門医の金子宜之先生に話をしていただきました。

最新研究が示す最適な睡眠時間

 心身の健康を維持するためには、十分な睡眠時間を確保することが重要です。近年の研究では、睡眠時間が極端に短いことが心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳卒中、認知機能の低下など、さまざまな疾患のリスク要因であることが明らかになっています(※1)。一方、極端に長い睡眠時間も同様にリスクを高めることが報告されており、7時間前後の睡眠時間の人がこれらの疾患の発症および死亡リスクが最も低いとされています。

 必要な睡眠時間には個人差が大きいことを考慮して、厚生労働省が発表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(※2)では、成人においては少なくとも6時間以上の睡眠時間の確保が推奨されています。

高齢者は寝過ぎもリスク

 一方、高齢者においては長い床上時間が健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないようにすることが勧められています。このような適正な睡眠時間を踏まえながら、日中の眠気が残っているかどうか、睡眠で十分な休養感が得られているか、休日に長時間の睡眠を必要としていないかなどを参考に、自身の睡眠時間が適切かどうかを判断することが望ましいです。

 令和元年国民健康・栄養調査(※3)では、労働世代である20~59歳の各年代において、睡眠時間が6時間未満の人が約35~50%を占めており、日本人には睡眠不足の方が多い状況になっています。なお、平日の睡眠時間が6時間未満の人は、休日に睡眠不足を取り戻そうと寝だめをしても死亡リスクの十分な改善にはつながらないため、健康の保持のためには平日に十分な睡眠時間を確保する必要があります。

若年世代はより多くの睡眠が必要

 若年世代においては成人と比較してより多くの睡眠時間が必要であり、小学生は9~12時間、中学生や高校生は8~10時間が目安とされています。思春期になると勉強や部活動、デジタル機器の使用などで夜更かしになる傾向が強く、十分な睡眠時間を確保するためには規則正しい生活習慣を保つことがより重要です。

不眠症とその対策

 睡眠時間の確保が困難になる代表的な疾患に不眠症があります。不眠症は、寝つきが悪い、あるいは夜間や早朝に目覚めてしまうなどの理由で睡眠時間を十分に確保できず、日中の過度な眠気が生じるなど日常生活に支障をきたす睡眠障害です。

 改善策として、昼寝は午後3時ごろまでに30分程度にとどめること、自然な眠気が来てから布団に入ること、布団に入ってから15分たっても眠れない場合はいったん布団から出て、自然な眠気が生じるまでリラックスできることをして過ごすこと、寝るための飲酒や就寝前の喫煙、カフェイン摂取を避けることなどがあります。これらの対策で改善しない場合は、医療機関の受診を勧めます。

睡眠の質を低下させる睡眠障害

 十分な睡眠時間を取っても休養感が得られない睡眠障害もあります。例えば、閉塞(へいそく)性睡眠時無呼吸は、睡眠中に気道が閉塞してしまい、呼吸がしばしば止まるため、大きないびきとともに覚醒時のだるさや日中の眠気が出現します。睡眠の質が低下し、記憶や集中力が悪化し、学業や業務に支障を及ぼすほか、交通事故や労働災害を引き起こすなど日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼすことがあり、注意が必要です。心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすこともあるため、早期に発見し適切に治療することが大切です。自宅で実施できる簡易検査を行っているクリニックも多くありますが、特に重症な方は睡眠専門施設での治療が必要になることがあります。

 他にも、夜間に両足を中心にむずむずするような不快な感覚が出現し寝付くことが困難になる「むずむず脚症候群」や、足首がしばしば勝手にピクッと動いてしまい睡眠が浅くなる「周期性四肢運動障害」があります。これらの病気が疑われる場合や、十分に睡眠時間を取っていても睡眠が浅く感じられる場合は、睡眠専門施設への相談が必要となることがあります。

参考文献

※1 Li, J., Cao, D., Huang, Y., Chen, Z., Wang, R., Dong, Q., et al. (2022).
Sleep duration and health outcomes: an umbrella review. Sleep and Breathing, 1-23.

※2 厚生労働省.健康づくりのための睡眠ガイド 2023.
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

※3 厚生労働省.健康日本21(第二次)最終評価.
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

日本大学医学部附属板橋病院 精神神経科 金子宜之先生

日大板橋病院とローカルメディアと連携し、地域に健康情報を発信して地域の健康を支える!
「日大健康広報プロジェクト」

本プロジェクトは,高齢化社会において地域社会への健康情報の発信を通じて、地域全体の健康水準を向上させることを目的とした社会実装型の取り組みであり、これによりSDGsの達成に寄与することを目指しています。高齢者の増加に伴い,慢性疾患や生活習慣病が広がる中で、医療資源の圧迫と医療費の増大が深刻化している現状において、地域社会での健康増進と予防医療の推進が不可欠です。これにより,SDGsの目標である「すべての人に健康と福祉を」の達成に向けた具体的なアクションを展開することを目指しています。
https://2jf4a.hp.peraichi.com

(転載・取材に関するお問い合わせ先:med.kouhou@nihon-u.ac.jp

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