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板橋区立中央図書館「工都展」閉幕 国指定史跡を産学官連携で再現

100分の1スケールの史跡指定地全域の模型

100分の1スケールの史跡指定地全域の模型

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 板橋区立中央図書館(板橋区常盤台4)1階の図書館ホールで開催されていた企画展「工都展 Ver.1 光学レンズを通してみると」が1月30日、閉幕した。

トプコンのBIM技術や、史跡に残る建造物のBIMモデリングの解説映像上映も

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 板橋区は現在、2017(平成29)年10月に文化庁から国の史跡として文化財指定を受けた「板橋火薬製造所跡」(加賀1)を史跡公園化する整備を進め、当地の歴史を学ぶことができるガイダンス施設や、区の産業を紹介する産業ミュージアムの設置を予定している。板橋火薬製造所の発足は1876(明治6)年。官営工場としては日本最古の部類に属する工場とされ、区としても「工都・板橋における工業のさきがけであり、産業の原点として高く評価している」という。

 同展は、「板橋区史跡公園(仮称) 整備準備展覧会シリーズ」と題した企画展の第1弾。板橋火薬製造所跡地の研究にあたっては板橋区が中心となって産学官連携プロジェクトに取り組み、持続可能な地域経済の発展を目的とした包括連携協定を結ぶ株式会社トプコン(蓮沼町)と日本大学生産工学部と連携。トプコンの三次元測量技術やBIM技術を活用し、当地の歴史的価値の保存と将来の活用方法に関する共同研究を進めている。今回は産学官連携プロジェクトの成果として、板橋火薬製造所や史跡公園計画の案内とともに、三次元空間情報を基にした史跡指定地全面のBIMモデルについてパネルや映像で紹介。板橋区が寄贈を受けた、BIMモデルから制作した100分の1スケールの史跡指定地全域の模型なども展示した。

 「BIM」とはBuilding Information Modeling(ビルディングインフォメーションモデリング)の略称で、建造物や資材の三次元デジタルデータに基づいて建築設計や施工、改修維持といった工程シミュレーション、コストなどの情報を統合管理するソリューションツールあるいはワークフローを指し、従来の建築手法で生じる無駄を省く新たな建築手法の一つとして近年実用化が進められている。トプコンは2021年9月、三次元測量機器とBIMを連携させた施工管理法を実習形式で学べる日本初の建築施工ソリューションセンター「BuildTech(ビルドテック)」を本社内に開設している。

 展示以外にも、隣接する区立教育科学館で近代化遺産に関する講座や、光学や測量に関するワークショップなど区民参加型の連動イベントを開催した。

 板橋区の担当職員・品田真希さんは「この史跡公園は、江戸から昭和までの重層的な価値が特徴であり、今後もそれぞれの時代の再現に向けた研究を続けるとともに、さらなるBIM技術の活用研究についても、産学官連携の下で進めていきたい。工都展が、プロジェクトや史跡公園に興味を持ってもらえるきっかけになれば」と期待を込める。

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