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北陸大学内ベンチャーが地元と板橋区へマスク寄贈 イベント延期決断で

紋付きはかまにちょんまげ姿がトレードマークの武田幸男教授(左から3人目)

紋付きはかまにちょんまげ姿がトレードマークの武田幸男教授(左から3人目)

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 北陸大学の学内ベンチャー企業「サムライ金沢」(石川県金沢市)が2月24日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、5月の連休に開催予定だった「忍者パルクール2020世界大会」の延期決定と、イベント実施に向けて確保したマスクの一部を板橋区に寄贈すると発表した。

「忍者パルクール」競技の様子

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 「サムライ金沢」は、日本文化とフランス発祥のアクロバットスポーツ「パルクール」を融合させた競技「忍者パルクール」を発案し、2018(平成30)年・2019年と金沢城公園で「忍者パルクール全国大会」を開催。イベント立ち上げ当初から「2020年は世界大会」を宣言し、昨年は大会開催時にパルクールを創始した仏パルクール集団「YAMAKASI(ヤマカシ)」設立メンバーの一人、チョウ・ベル・ディンさんを招いた特別ワークショップを行った。今年1月には一般社団法人「忍者パルクール協議会」を立ち上げ、「忍者パルクール」世界大会を中心に、子ども向け企画やストリートダンス大会、ロックフェスを組み合わせたイベント実施に向けて、昨年から企画調整や書類申請などの準備を進めてきた。

 「サムライ金沢」は同大経済経営学部の武田幸男教授がゼミ生らに実体験を通じて経営を学ばせようと武田研究室のゼミ生らと2016(平成28)年5月に創業。元々は同研究室に所属する留学生が主体となって、同大の薬学部と一緒に金沢の歴史・文化を海外発信するプロジェクトがあり、その活動を母体にして「伝えよう『日本の文化』を金沢から世界に」をスローガンに掲げる会社設立に至ったという。法人登記上、武田教授が代表取締役社長を務め、毎年ゼミ生で経営会議や取締役会を開いて学生社長や役員を選出し、金沢の伝統工芸・文化などを世界に発信する「新商品」の開発と「イベント」の企画・運営事業を行っている。

 武田教授は「北陸大学は中国人留学生が多く、『忍者パルクール』の世界大会実施に向けてフランスだけでなくパルクール競技人口の多い中国と情報交換を行う中で、中国での新型コロナウイルス発症や混乱状況が早い段階で伝わっていた」と話す。武田教授は前職が大手外資系薬品メーカー勤めで、同大学の薬学部と一緒に文部科学省との産学連携で商品開発を進めてきた背景などもあり、「大会実施準備の一環で予算を組んで、リスクマネジメントとしてスポンサー企業からマスク1万3000枚を早々に仕入れた。ウイルス感染の懸念が長引くようであれば海外からの競技参加者や来場者に配布する前提でいたが、WHOの宣言と日本国内の感染状況から来年度への開催延期を早々に判断して、マスクの無料配布を決断した」と話す。

 同社では2月24日、大学周辺の住民を対象にマスクを配布。在校生の新型コロナウイルス発症が発表されて休校となった野田中学校(金沢市若草町)の周辺住民にもマスクを無料配布する予定。残りの約3000枚を金沢市と友好都市協定を結ぶ板橋区に寄贈する。

 マスク寄贈の打診を受けた板橋区くらしと観光課の北村知子課長は「大変ありがたい申し入れに感謝している。寄贈いただいたマスクは、先々で開催を見込んでいる区内の大型イベントを中心に、警備や運営に携わるボランティアスタッフなどへの配布を検討している」と話す。

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